『陰の実力者になりたくて! 06』の感想・レビューです。
6巻は、これまでの学園編や潜入劇とは少し雰囲気が変わり、
ホラー寄りの空気と猟奇事件めいた不穏さが印象に残る一冊でした。
王都を舞台に、連続殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」のような存在が現れる展開は、
これまでの巻とはまた違う面白さがあります。
ただ、本作らしいところはやはり、そうした不穏な状況でも完全に重たくなりすぎないところです。
起こっていること自体はかなりえげつないのに、
シドの陰の実力者ムーブが入ることで独特のコメディとして読めるのが、この巻の魅力でした。
「ホラー寄りの雰囲気がある作品を読みたい人」や、
「少し猟奇的な状況の中で主人公が暗躍する展開が好きな人」には、かなり相性のいい6巻だったと思います。
『陰の実力者になりたくて! 06』はどんな作品?
『陰の実力者になりたくて! 06』は、
ミドガル王国の王都を舞台に、秘密結社『十三の夜剣』や腐敗した貴族たちを背景にしながら、
シドが「ジャック・ザ・リッパー」のような存在として暗躍していく巻です。
全体の空気としてはホラー寄りで、猟奇事件や連続殺人鬼を思わせる不穏さがあります。
一方で、ミステリー要素は強すぎず、あくまで少し謎めいた雰囲気のあるホラー寄りの巻、という印象でした。
全体としては、
ホラー寄りの舞台設定、シドの陰の実力者らしい暗躍、
そして王都を舞台にしたバトルや緊張感のある場面がうまくまとまった一冊でした。
大きく物語が進む巻というよりは、その場の空気やシチュエーションを楽しむ巻として面白かったです。
発売日・著者・レーベルなどの基本情報を先に確認したい方は、こちらの記事をご覧ください。
向いている人
- ホラー寄りの雰囲気がある作品が好きな人
今回は王都を舞台にした猟奇事件めいた展開があり、全体にかなり不穏な空気があります。
ただし怖さ一辺倒ではないので、重すぎないホラー風味を楽しみたい人には合いやすいと思います。 - 陰の実力者ムーブをしっかり楽しみたい人
こういう暗い舞台は、シドの振る舞いとかなり相性がいいです。
主人公が裏から場をかき回す展開が好きな人にはかなり向いています。 - 少し猟奇的な事件や裏社会っぽい空気が好きな人
王都の腐敗や秘密結社の存在など、舞台設定そのものに危うさがあります。
そうした裏側の空気を楽しみたい人にも入りやすいと思います。 - キャラの濃さを楽しみたい人
前巻から出てきたキャラも含めて、今回も印象の強い人物が目立ちます。
特に、言動のひどさも含めて妙に印象に残るキャラがいて、その濃さが面白かったです。 - 強い主人公のバトルを楽しみたい人
今回もシドの強さがしっかり見どころになっています。
特に、相手が実力差を察した上でどう動くか、という場面が好きな人には刺さりやすい巻だと思います。
合わないかもしれない人
- 主人公の陰の実力者ムーブ自体が苦手な人
ここは6巻でも変わりません。
作品の面白さの中心がシドの独特なこだわりにあるので、そこが合わないと楽しみにくいと思います。 - シリアス一辺倒のホラーやミステリーを求める人
雰囲気としてはかなり不穏ですが、読み味はやはりこの作品らしくコメディ寄りです。
張りつめた怖さや本格的な謎解きを求める人には少し違うかもしれません。 - 人が死ぬ展開を軽さのある作風で読むのが苦手な人
今回も起こっていること自体はかなり重いのですが、作品全体は必要以上に沈みません。
そのギャップが合わない人には引っかかる部分があると思います。 - 物語の大きな前進を強く期待する人
6巻は雰囲気やシチュエーションの面白さが強い反面、
ストーリー全体が大きく進んだ感覚はやや薄めでした。
展開の進行より、その巻ごとの空気を楽しめる人の方が合いやすいと思います。
感想・見どころ
※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。
『陰の実力者になりたくて! 06』の見どころは、
やはりホラー寄りの空気と、
その中で繰り広げられる陰の実力者らしい暗躍でした。
まず印象に残ったのは、今回の雰囲気です。
王都を舞台に連続殺人鬼のような存在が現れる展開は、これまでの巻と比べてもかなり不穏で、
全体としてはホラー色が強めでした。
ミステリー要素も少しありますが、
どちらかというと「謎解き」よりは「不気味な空気を楽しむ」タイプの作りだったと思います。
ただ、本作はそこを重たくしすぎないのが面白いところです。
起こっていること自体はかなりえげつないのに、
シドがそこに入ることで、やはりこの作品らしい独特の読み味になります。
こういう舞台だからこそ、“陰の実力者”ムーブがよく映えていて、読んでいてかなり楽しかったです。
今回は特に、シドが「ジャック・ザ・リッパー」めいた立ち位置で動くのが、
この巻らしい見どころになっていました。
暗い舞台、腐敗した権力者たち、猟奇的な事件という要素は、
まさにシドが楽しみそうな状況で、その相性のよさが強く出ていたと思います。
こういう「いかにもこの主人公が映える場面」が用意されると、本作の面白さがよく出ます。
キャラクター面では、前巻から登場した人物が印象に残りました。
詳しくは触れませんが、言動のひどさも含めて妙に目立っていて、
メイン級のキャラとはまた違う意味で印象に残る存在でした。
ああいう濃いキャラがいることで、6巻の空気がより独特になっていた気がします。
バトル面も、今回しっかり面白かったです。
個人的に良かったのは、主人公に挑む側がただ無謀に突っ込むだけではなく、
実力差を察したうえでどう反応するか、というところでした。
この手の作品では、強さが分からないまま挑んで倒される流れも多いですが、
「相手の格を理解した上で引く」ような場面には独特の気持ちよさがあります。
その意味で、6巻の戦いは自分の好みにかなり合っていました。
ただ強い主人公が勝つだけでなく、相手の反応まで含めて面白く読めるのがよかったです。
強さの見せ方にこだわりがある作品らしい魅力が、今回も出ていたと思います。
一方で、ストーリー全体として見ると、
6巻は大きく話が前進したというより、一つの濃いシチュエーションをしっかり楽しむ巻という印象でした。
そこは人によって評価が分かれそうですが、個人的には雰囲気や場面の面白さが強かったので、かなり楽しく読めました。
全体として見ると、6巻は
ホラー風味の不穏さ、シドの陰の実力者ムーブの面白さ、
好みのシチュエーションで映えるバトルの面白さが詰まった巻でした。
物語の大きな進展よりも、その巻ならではの空気や場面を楽しみたい人にはかなり合うと思います。
次巻はこちら:陰の実力者になりたくて! 07
前巻はこちら:陰の実力者になりたくて! 05