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『全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。』(1巻)感想・レビュー
全滅回避の掴みと曇らせ×激重感情が刺さるダークファンタジー

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★★★★★★★★★★4.5 / 5

全滅するはずだった運命を、主人公が死に物狂いでひっくり返す――その先に待っていたのは、救われた少女たちの重すぎる感情だった。『全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。』(1巻)は、雨糸雀さんによるKADOKAWA新文芸の異世界ダークファンタジー(イラスト:kodamazonさん/2024年刊行)。前世で読んだ漫画の世界に転生した主人公ウォルカが、モブとして全滅する宿命を覆していく開幕の掴みと、そこから一転して始まる曇らせ×激重感情の物語が大きな読みどころです。

総合評価 ★4.5|全滅回避の死闘という強烈な掴みから、救ったはずの少女たちの依存・執着が牙をむく独特の転調が癖になる一冊。曇らせ系や激重感情のダークファンタジーが好きな人に強くおすすめできます。

目次

『全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。』はどんな作品?

日本から異世界へ転生した冒険者ウォルカは、ダンジョン探索の最中に強大な魔物へ立ち向かい、仲間を庇って瀕死の重傷を負います。その瞬間に思い出したのは、ここが前世で読んだダークファンタジー漫画の世界であり、自分が仲間もろとも全滅する運命のモブキャラだったという事実でした。バッドエンドを何より嫌うウォルカは死に物狂いで戦い、片目と片足を失いながらも全滅の運命を覆します。ところが、救われたはずの少女たちの様子が、どこかおかしくなっていき――。ハッピーエンド至上主義の転生者と、彼に激重感情を募らせる少女たちが織りなす、曇らせ系の異世界ダークファンタジーです。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。からどうぞ。

向いている人

曇らせ・激重感情(依存/執着/守護欲)系が好きな人

この作品の核は、救われた少女たちがウォルカへ向ける常軌を逸した感情です。依存や執着、守護欲といった重い気持ちが物語を動かしていくので、いわゆる曇らせ・激重感情ものが好きな人にはど真ん中に刺さります。

ダークファンタジーの世界観で悲惨な場面も含めて楽しめる人

全滅の運命が示すとおり、世界そのものが容赦のないダークファンタジーです。痛みや喪失を伴う描写もしっかりあり、そうした重さや悲惨さも物語の魅力として味わえる人に向いています。

開幕クライマックスの掴みが強い物語が好きな人

物語はいきなり、全滅するはずだった運命を覆す死闘から始まります。冒頭から一気に引き込む開幕クライマックス型の構成なので、序盤の掴みで心を掴まれたい人には相性が良いです。

主人公が過度にメソメソしない前向きさを求める人

世界は重く悲惨ですが、主人公ウォルカ自身は必要以上に悲観しません。胃が痛くなる状況でも前を向いて進んでいくので、重い題材でも読み口は意外と軽く、最後まで引っ張られます。

合わないかもしれない人

明るい王道ラブコメだけを求めている人

ヒロインたちとの距離は近いものの、その感情は甘いだけでなく依存や執着を孕んでいます。明るく爽やかなラブコメだけを期待して読むと、想定とは違う重さに戸惑うかもしれません。

重い感情や病みの空気でしんどくなりやすい人

作品全体の空気が病みや激重感情に寄っているため、そうした重さを浴び続けるのが苦手な人にはしんどく感じられる場面があります。明るい読後感を求める読書には不向きです。

ダークファンタジー特有の悲惨さが苦手な人

痛みを伴う描写や、救いの薄い場面も含まれます。残酷さやシビアな展開が生理的に苦手な人は、世界観そのものが合わない可能性があります。

1巻で物語がスパッと完結してほしい人

この巻は導入と人物紹介に比重が置かれ、物語はここから動き出す構成です。1冊で綺麗に完結する読み味を求める人より、続きを追って積み上がりを楽しめる人に向いています。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

読み始めてまず圧倒されたのは、開幕からいきなり全滅の運命を覆しにいく死闘でした。前世で読んだ漫画の世界で、自分はモブとして仲間もろとも全滅するはずだった――その絶望的な前提を、ウォルカが片目と片足を代償にしてまでひっくり返していく冒頭は、掴みとして非常に強烈です。

そして本当の面白さは、全滅を回避した「その後」から始まります。救われたはずの少女たちの様子が、どこかおかしい。感謝や好意の枠を超えた依存や執着が少しずつ滲み出してくる転調が独特で、ハッピーエンドを掴んだはずなのに別の方向から物語が軋んでいく感覚がたまりません。曇らせ・激重感情ものとしての旨みがしっかり効いています。

重い題材ながら読み進めやすいのは、主人公ウォルカが必要以上にメソメソしない前向きさを持っているからだと感じました。世界は容赦なくダークなのに、彼の視点が物語を重苦しくしすぎない絶妙なバランスになっています。1巻は人物紹介寄りではあるものの、続きが気になる引きが強く、次巻とあわせて読みたくなる――刺さる人には深く刺さる、満足度の高い一冊でした。

まとめ

『全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。』(1巻)は、全滅の運命を覆す強烈な開幕クライマックスと、救ったはずの少女たちが見せる依存・執着の曇らせ展開を一冊で味わえるダークファンタジーでした。重く悲惨な世界観でありながら、前向きな主人公の視点で読み口が軽くなっているのが大きな魅力です。曇らせや激重感情ものが好きな人にはど真ん中でおすすめできる一方、明るいラブコメや軽い読後感を求める人には重く映るかもしれません。1巻は人物紹介寄りながら引きが強く、続きを早く読みたくなる出発点になっています。

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