市立桜ケ丘高校の教師・生徒・用務員ら計79人が、ある日突然まとめて異世界へ召喚される。召喚された者には神から能力(加護)が与えられるが、用務員・支部蔵人(クランド)は、その加護を生徒に奪われてしまう——。
『用務員さんは勇者じゃありませんので 1』は、棚花尋平によるMFブックスの異世界サバイバル作品で、2015年刊行のシリーズ第1巻です(イラスト:巖本英利/「小説家になろう」発)。
勇者ルートから外れ、加護も持たないまま雪山に放り出された主人公が、知恵と地道な努力で生き延びていく——派手な無双ではなく「生身で異世界を生きる」過程を、落ち着いた大人の視点で描くのが本作の持ち味です。
総合評価 ★3.5|勇者として召喚されるはずが力を生徒に奪われ、雪山に放り出された用務員のサバイバル——チートなしで地道に生き延びる、落ち着いた大人視点の異世界譚の幕開けです。
『用務員さんは勇者じゃありませんので 1』はどんな作品?
物語は、加護を奪われた蔵人が雪山に転移するところから始まります。最低限の適応能力や言語は与えられているものの戦闘向きの力はなく、まずは環境に適応して生き延びることが最初の課題になります。
学生主人公が多い異世界ジャンルの中で、本作の主人公は冷静で現実的な判断をする大人。いきなり無双するのではなく、サバイバルと生活描写を積み重ねながら、少しずつ立ち位置を築いていくタイプの物語です。
発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、用務員さんは勇者じゃありませんので 1からどうぞ。向いている人
チートなしの異世界サバイバルが好きな人
主人公は能力を奪われた状態で異世界へ。最初は雪山でのサバイバルから始まるなど、「生身で生き延びる」展開が特徴です。
落ち着いた大人の主人公が好きな人
主人公は学校の用務員。学生主人公とは違い、冷静で現実的な判断をしながら行動していきます。
コツコツ成長する物語が好きな人
いきなり無双するタイプではなく、環境に適応しながら生き残るタイプのストーリーです。
異世界転移の「別ルート」展開が好きな人
同じ学校から召喚された教師や生徒とは別の場所に転移するため、勇者ルートとは違う視点の物語が楽しめます。
サバイバルや生活描写が好きな人
雪山での生活や物資の確保など、異世界生活の地道な部分が丁寧に描かれています。
合わないかもしれない人
最初からチート無双を期待する人
主人公は能力を奪われた状態でスタートするため、派手な戦闘や無双展開は少なめです。
明るい性格の主人公が好きな人
主人公の蔵人はやや暗めの性格で、内省的な描写も多めです。
大きな事件が続く物語を読みたい人
1巻は導入に近い内容で、物語の土台を作る巻という印象です。
テンポ重視のストーリーが好きな人
サバイバルや生活描写が多いため、ゆっくり進む展開に感じる場合があります。
感想・見どころ
※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。
市立桜ケ丘高校の教師・生徒・用務員など計79人が、突然異世界へ召喚されるところから物語は始まります。召喚時には神から能力が与えられるのですが、主人公である用務員・支部蔵人(クランド)は、その能力を生徒に奪われてしまいます。
結果として主人公は、能力を持たない状態で異世界へ転移することになります。とはいえ最低限の適応能力や言語などは与えられており、完全な無力ではありません。
物語は雪山でのサバイバル生活からスタートします。派手な展開というよりも、環境に適応しながら生き延びていく流れが中心になります。
読んでいて印象的だったのは、主人公の性格。かなり内向的で暗めの人物なので、ここは好みが分かれそうです。ただ真面目で現実的な性格でもあり、個人的には違和感なく読めました。
1巻としては物語の導入という印象で、大きな山場というより「これからどう展開していくのか」を見せる巻という感じです。
まとめ
1巻は、勇者ルートから外れた用務員のサバイバルを通して、「チートなしで生き延びる緊張感」「落ち着いた大人主人公の視点」「これからどう展開するのかという期待」を見せてくれる導入巻でした。大きな山場よりも物語の土台づくりに重きが置かれた一冊です。
派手な無双ではなく、地道に生き延びていく異世界サバイバルが読みたい人におすすめです。主人公はやや内向的で暗めなので人を選ぶ面はありますが、真面目で現実的な人物像に違和感なく入っていける、続きが気になるタイプの第1巻でした。
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