『陰の実力者になりたくて! 05』(5巻)感想・レビュー
学園が舞台のデスゲーム風展開と教団幹部戦が冴える巻

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★★★★★★★★★★4.5 / 5

逢沢大介先生『陰の実力者になりたくて!』の第5巻は、2022年12月にKADOKAWAから刊行された新文芸シリーズの一冊です。本巻の舞台はミドガル魔剣士学園。生徒が次々と姿を消し、シドの姉クレアまで行方不明になる――どこかデスゲームを思わせる不穏な空気が漂います。緊張感のある状況ほど映えるシドの動きと、教団幹部との剣戟まで楽しめるのが本巻の読みどころです。

総合評価 ★4.5|学園を舞台にしたデスゲーム風の緊張感に、正体を隠して動くシドのノリが重なる巻。ディアボロス教団幹部との剣戟も見応えがあり、シリアスとコメディの同居が冴えます。

目次

『陰の実力者になりたくて! 05』はどんな作品?

『陰の実力者になりたくて! 05』は、ミドガル魔剣士学園を舞台に、生徒たちの失踪やクレアの行方不明をきっかけに、シドやゼータたちがそれぞれ動き出していく巻です。

学園ものらしい舞台ではあるのですが、今回の空気はかなり不穏で、全体としてはデスゲームものを思わせるような緊張感があります。そこにシドの陰の実力者ムーブが入ることで重くなりすぎず、この作品らしい読み味がしっかり保たれていました。デスゲーム風の展開の面白さ、正体を隠して動くシドの楽しさ、ディアボロス教団幹部とのバトルの見せ場がうまくまとまった一冊で、敵側の存在感も強くなり先がさらに気になる巻です。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、陰の実力者になりたくて! 05からどうぞ。

向いている人

デスゲーム風の緊張感がある展開が好きな人

学園を舞台に人が消えていく流れは、かなり不穏で先が気になる作りになっています。ただ怖さ一辺倒ではなく、物語としての引きの強さを楽しみたい人には合いやすいと思います。

主人公が正体を隠して動く展開が好きな人

こういう状況でシドが黙っているはずもなく、今回もしっかりメインキャラたちに絡んでいきます。裏から動く主人公の面白さが好きな人にはかなり向いています。

陰の実力者ムーブを楽しみたい人

不穏な状況だからこそ、シドの独特な振る舞いがよく映えます。こういう場面でこそこの主人公を見たいと感じる人には満足度が高いと思います。

強敵とのバトルが見たい人

今回はディアボロス教団の幹部との戦いも見どころでした。相手もただの敵ではなく剣の実力を備えた強者なので、戦いの場面にしっかり面白さがあります。

シリアス寄りの状況でもコメディを楽しめる人

かなり危険な状況でも、本作はシドがいることで独特の読み味になります。緊張感とコメディが同居する作風が好きな人には合うと思います。

合わないかもしれない人

主人公の陰の実力者ムーブ自体が苦手な人

ここは5巻でも変わりません。作品の面白さの中心がシドの独特なこだわりにあるので、そこが合わないと楽しみにくいと思います。

シリアス一辺倒のデスゲームものを求める人

雰囲気や設定には不穏さがありますが、読み味はやはりこの作品らしくコメディ色も強めです。張りつめた緊張感だけを求める人には少し違うかもしれません。

人が死ぬ展開を軽いノリで扱う作品が苦手な人

今回もそれなりに人が死んでいくのですが、本作では完全に重たい方向へは寄りません。そのギャップが合わない人には、やや引っかかる部分があると思います。

主人公が追い詰められる接戦を重視する人

シドがかなり強いため、戦いは苦戦の重さよりも、圧倒的な側がどう動くかを楽しむ作りになっています。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

『陰の実力者になりたくて! 05』の見どころは、やはりデスゲームものを思わせる不穏な展開と、その中でシドが見せる陰の実力者ムーブでした。

まず印象に残ったのは今回の舞台の使い方です。ミドガル魔剣士学園というおなじみの場所が舞台なのに、生徒が次々と行方不明になり空気がどんどん不穏になっていくので、いつもの学園ものとはかなり違う緊張感がありました。どこかで見たことのあるようなデスゲーム風の雰囲気があって、読んでいて先が気になります。

ただ、本作が面白いのはその空気をそのまま重くしすぎないところです。こういう状況になると、シドはむしろ本領を発揮するようなところがあります。こんな舞台が用意されたなら動かないはずがないと思わせる流れで、正体を隠したままメインキャラたちに関わっていくのが、まさにこの作品らしくて楽しかったです。不穏な状況の中でもシドが自分の理想に忠実に動くことで、緊張感だけで終わらず独特の面白さに変わっていくのがよかったです。

バトル面では、ディアボロス教団の幹部との戦いが特に良かったです。相手も剣の道を極めたような強者なので、ただ一方的に倒すだけではなく、腕前を競うような面白さがしっかりありました。強い主人公の爽快感だけでなく、強者同士のぶつかり合いとして読める場面があるのもこの作品の魅力だと感じます。

また、5巻はシリアス寄りの状況でありながら、その中にちゃんとコメディの読み味が残っていたのも印象的でした。人が死ぬ展開がありつつも全体の印象が必要以上に沈まないのは、やはりシドの存在が大きいと思います。このバランスは好みが分かれそうですが、好きな人にはかなり刺さるはずです。

全体として5巻は、デスゲーム風の展開の引き、シドの陰の実力者ムーブの楽しさ、強敵とのバトルの面白さがしっかり詰まった巻でした。いつものシリーズらしさを保ちながら、状況の緊張感でまた違う面白さを出しているのがよく、正体を隠しながら動く流れも含めて満足感の高い一冊でした。

まとめ

『陰の実力者になりたくて!』5巻は、学園を舞台にしたデスゲーム風の緊張感と、正体を隠して動くシドのノリ、そして教団幹部との剣戟が噛み合った巻でした。シリアスな状況にコメディの読み味が同居し、強者同士のぶつかり合いとして読めるバトルも見どころです。重いだけの物語を求める人には軽さが気になるかもしれませんが、シリーズの空気が好きな方にはおすすめ。敵側の存在感も増し、続きが気になる一冊です。

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