『学校を出よう!Escape from The School』(1巻)感想・レビュー
谷川流が描く、ハルヒとは異なる独特の空気のSF学園小説

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★★★★★★★★★★4.5 / 5

超能力者ばかりが集まる山奥の学園に、なぜか超能力を持たない『僕』がいる。理由は、すぐ後ろをひらひらと漂う、死んだ妹の幽霊のせい――。『学校を出よう!Escape from The School』(1巻)は、谷川流さんによる電撃文庫のSF学園小説(イラスト:蒼魚真青さん/2003年刊行)。『涼宮ハルヒの憂鬱』と同じ作者でありながら、静かで少し不思議な、まったく異なる空気で描かれる一冊です。風変わりな設定と独特の雰囲気が、強く印象に残ります。

総合評価 ★4.5|超能力者の学園を舞台に、能力を持たない主人公と死んだ妹の幽霊の日常を独特の空気で描くSF学園小説。『涼宮ハルヒの憂鬱』とは大きく異なる作風で、谷川流の別の一面を味わいたい人におすすめです。

目次

『学校を出よう!Escape from The School』はどんな作品?

『学校を出よう!Escape from The School』は、超能力者ばかりが押し込まれた、山奥の全寮制学校『第三EMP学園』を舞台にしたSF学園小説です。主人公の『僕』は、超能力を持っているわけでもないのに、なぜかこの学園に、もう六年も在籍しています。理由は明確で、すぐ後ろで今もひらひらと漂っている、女の子の幽霊のせいでした。彼女の名は春奈。六年前に事故で亡くなった『僕』の妹で、死んだ翌日には幽霊となって兄に付きまとうようになったのです。死してなお成長を続け、兄離れできない春奈とともに、『僕』は少し風変わりな学園生活を送っていきます。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、学校を出よう!Escape from The Schoolからどうぞ。

向いている人

学園ものが好きな人

超能力者ばかりが集まる全寮制学校という、少し特殊な学園を舞台にした物語です。学校生活を土台にした作品が好きな人に向いています。

少し変わった設定を楽しめる人

主人公が超能力を持たないのに学園にいる理由が、死んだ妹の幽霊につきまとわれているから、という独特の設定が核にあります。一風変わった設定をおもしろがれる人にぴったりです。

静かで風変わりな空気の作品が好きな人

派手な展開よりも、独特の空気感や雰囲気で読ませるタイプです。静かで少し不思議な作品世界にじっくり浸りたい人に合います。

合わないかもしれない人

明るく分かりやすい学園ものを求める人

全体に静かで、少し不思議な空気をまとった作品です。明るく分かりやすい学園コメディを期待すると、トーンが違って感じられるかもしれません。

主人公の活躍がはっきりした作品が好きな人

主人公は超能力を持たず、派手に活躍するタイプではありません。主人公がぐいぐい物語を引っ張っていく展開を求めると、物足りなく映ることがあります。

テンポの速い展開を重視する人

急展開で畳みかけるよりも、独特の雰囲気をじっくり味わわせる作風です。スピード感を最優先で求めると、ゆったりして感じられるかもしれません。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

『学校を出よう!Escape from The School』を手に取ったのは、『涼宮ハルヒの憂鬱』を読んで、同じ作者の別作品が気になったからでした。

ところが読んでみると、同じ学園ものでありながら、その雰囲気はハルヒとは大きく異なっていて驚かされました。超能力者ばかりが集まる学園に、能力を持たない主人公が、死んだ妹の幽霊とともに在籍しているという独特の設定からして、明るく賑やかなハルヒとはまったく違う、静かで少し不思議な空気が流れています。

同じ作者でも、ここまで作風が変わるのかと、当時は素直に感心しました。派手さよりも雰囲気で読ませるタイプの作品で、谷川流という作家の引き出しの広さを感じさせてくれる一冊です。ハルヒとは違う一面を知りたい人にこそ、手に取ってみてほしい作品でした。

まとめ

『学校を出よう!Escape from The School』(1巻)は、超能力者ばかりが集まる学園を舞台に、能力を持たない主人公と、死んだ妹の幽霊との風変わりな日常を、独特の空気感で描いたSF学園小説でした。『涼宮ハルヒの憂鬱』と同じ作者でありながら、その作風は大きく異なり、静かで少し不思議な雰囲気が全体を包みます。明るく分かりやすい学園ものやテンポの速い展開を求める人には合わないかもしれませんが、独特の空気を味わいたい人や、谷川流の別の一面を知りたい人には強くおすすめ。作家としての引き出しの広さを感じさせてくれる一冊です。

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