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『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~ 1』(1巻)感想・レビュー
凝った設定とキャラ深掘りが光る勘違い成り上がりコメディ

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★★★★★★★★★★4.5 / 5

才能がないはずの主人公クライ・アンドリヒへの周囲の期待だけが、なぜか高まっていく——。人間離れした幼馴染たちが大暴れするたび、クライの土下座スキルだけが上がっていく——。

『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~ 1』は、槻影によるGCノベルズの異世界ファンタジーで、2018年刊行のシリーズ第1巻です(イラスト:チーコ)。

アニメ化で人気のコメディ調に加え、原作では主人公の内心や各キャラの深掘り、凝った世界設定がじっくり味わえます。勘違いが転がす成り上がりコメディの魅力が詰まった一冊です。

総合評価 ★4.5|凝った設定と各キャラの深掘りが楽しい勘違い成り上がりコメディ。アニメで知った人が原作の面白さを確かめるのに好適な第1巻です。

目次

『嘆きの亡霊は引退したい』はどんな作品?

『嘆きの亡霊は引退したい』は、宝物殿を探索するトレジャーハンターたちの黄金時代を舞台にした異世界ファンタジーです。主人公クライ・アンドリヒは、幼馴染たちと「トレジャーハンターになろう」と誓ったものの、本人には何の才能もありませんでした。

ところが、人間離れしていく幼馴染たちが各地で大暴れするたびに、なぜかクライへの周囲の期待だけが高まっていきます。本作は、才能のない青年が円満引退を目指して奔走する、勘違いコメディ色の強い成り上がりファンタジーです。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~ 1からどうぞ。

向いている人

勘違い・すれ違いで話が転がるコメディが好きな人

才能がないはずの主人公への期待が、幼馴染たちの活躍でどんどん膨らんでいきます。本人の意図と周囲の評価がズレていく面白さを楽しめる人に向いています。

キャラクターの深掘りをじっくり読みたい人

アニメではあまり描かれないギルベルトのような脇役にも、原作ではしっかりとした物語が用意されています。各キャラの背景を読み込みたい人におすすめです。

凝った世界設定を味わいたい人

宝物殿や宝具など、世界の仕組みに関する説明が丁寧で、設定そのものを読む楽しさがあります。作り込まれた設定が好きな人には刺さります。

アニメから入って原作も気になっている人

原作では主人公の内心がアニメより細かく描かれており、アニメのコメディ調をさらに掘り下げて楽しめます。

合わないかもしれない人

テンポ重視でアニメだけで満足したい人

アニメのノリが良いぶん、コメディとして楽しむだけならアニメだけでも十分という面もあります。原作ならではの掘り下げに魅力を感じない場合は、物足りないかもしれません。

主人公自身の派手な能力・無双を期待する人

主人公クライには現時点で特殊な力は描かれず、強いのはあくまで幼馴染たちです。主人公が自ら無双する展開を求めると、方向性が違うと感じるかもしれません。

幼馴染ヒロイン中心の話を早く読みたい人

1巻は幼馴染周りよりも、それ以外のキャラの登場が多めです。幼馴染関係の進展を最優先で求めると、本巻ではやや待たされます。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

アニメ化をきっかけに本作を知り、1〜2話を見てから原作を手に取りました。アニメのコメディ調が原作ではどう描かれるのか気になっていましたが、結論から言うと、原作もしっかり楽しんで読めました。

特に良かったのは、それぞれのキャラクターの深掘りです。アニメ第1話に登場するギルベルトも、アニメではあまり掘り下げられませんが、原作ではそれなりの物語が用意されていて、脇役にも厚みを感じます。主人公クライの内心もアニメより細かく描かれているので、アニメで興味を持った人が原作を読む価値は十分にあると思います(アニメのノリが良いので、コメディとして楽しむだけならアニメだけでも十分かもしれませんが)。

設定周りの説明が読んでいて楽しいのも好印象でした。宝物殿や宝具まわりの作り込みが凝っていて、面白い要素が多く感じられます。

面白かったのが、主人公クライの「強さ」の正体です。何か特殊な力があるのかと思って読み進めましたが、現時点では特に描かれていません。強いて言えば、大量の宝具を使いこなしているのが特技でしょうか。作中では宝具の扱いは難しいとされているので、それを大量に操れること自体が、実は才能なのかもしれない——と思いながら読んでいました(はっきり言及はされていませんが)。

全体的に、1巻は幼馴染周りよりもそれ以外のキャラの登場が多めです。そのぶん、次巻以降で幼馴染関係の物語が進んでいくのを期待したくなる引きにもなっていました。

まとめ

『嘆きの亡霊は引退したい』1巻は、才能のない主人公クライへの期待だけが膨らんでいく勘違いコメディに、各キャラの深掘りと凝った世界設定が加わった一冊です。アニメのコメディ調を原作でさらに掘り下げて楽しめるのが、本巻いちばんの魅力でした。

勘違い・すれ違いの面白さや、脇役まで含めたキャラの背景、作り込まれた設定を味わいたい人に特におすすめです。幼馴染関係の進展は次巻以降への期待として残しつつ、アニメで知った人が原作の面白さを確かめるのにちょうどいい第1巻でした。

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