2018年6月にスニーカー文庫から刊行されたライトノベルです。
「小説家になろう」で四半期累計総合1位を獲得した人気作品を、
大幅加筆・書き下ろしエピソード45,000字付きで文庫化した1冊です。
勇者パーティーから追い出された英雄が辺境でスローライフを送るという
「追放もの×スローライフ」の組み合わせが特徴の作品で、
今回は1巻を読んだ感想とどんな人に向いているかをまとめます。
『真の仲間じゃないと』はどんな作品?
勇者パーティーの英雄・レッドは、
仲間の賢者から「真の仲間ではない」と戦力外を宣告されパーティーを追い出されます。
しかし当の本人はあっさり受け入れ、辺境の地で薬草屋を開業するという新たな人生を歩み始めます。
そこへかつての仲間であるお姫様が突然訪ねてきて、住み込みで働きたいと申し出てきて——。
追放された英雄が辺境でのスローライフの中に幸せを見つけていく物語です。
向いている人
「縁の下の力持ち」タイプの主人公が好きな人
レッドは規格外のチートキャラクターではありません。
勇者パーティーの中では戦力不足と判断されてしまいますが、一般的には十分に強く、
何より「別の面でパーティーを支えてきた」という立ち位置が特徴的です。
力で無双するのではなく、フォロー役として必要とされてきた主人公の在り方に共感できる人には、
レッドの魅力がしっかり伝わってくるはずです。
続きを読みたくなる世界観の作り込みが好きな人
辺境の薬草屋という舞台や、その土地に集まる冒険者たちの描写には、日常に留まらない広がりがあります。
特に辺境の冒険者たちが物語に絡んでくる場面では、世界の背景にある何かが動き出す気配があり、
先を読みたいという気持ちを引き立てます。
「2巻以降で何かが起きそう」という期待が自然と高まる1冊です。
のんびりしたペースでキャラクターの関係性を楽しみたい人
大きなバトルや劇的な逆転よりも、キャラクター同士の交流や日常の積み重ねを大切にする作風です。
レッドとお姫様の関係がゆっくりと育っていく様子をのんびり追いかけたい人には、
居心地よく読み進められる作品です。
合わないかもしれない人
スローライフ展開があまり得意でない人
追放後のレッドは戦いではなく薬草屋の仕事を中心とした辺境ライフを送ります。
追放ものによくある「隠された力で逆転する」という展開は1巻ではほとんど描かれず、穏やかな日常がメインです。
スローライフよりも激しい展開やスカッとする逆転劇を求めている人には、
テンポが合わない場面があるかもしれません。
ラブコメの濃度に期待している人
お姫様との関係はほのかに描かれますが、がっつりしたラブコメ展開を期待すると物足りなく感じるかもしれません。
「スローライフの中でじんわりと関係が育まれる」という距離感で、甘い場面は控えめです。
感想・見どころ
※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。
読み始めはこれといった引っかかりを感じないまましばらく読み進めていました。
「追放もの」と聞くと主人公が実は隠された力を持っていて……という展開を想像しがちですが、
レッドはそういうタイプではありません。
一般的には十分強いけれど、勇者パーティーの基準で見るとスペック不足と判断されてしまう、という立ち位置です。
「力で圧倒する爽快感」を求めて読み始めると肩透かしに感じるかもしれません。
しかしこの「縁の下の力持ちとして必要とされていた」という設定には独特の味があります。
追い出した側が後から困り果てるという構造は、いわゆる「ざまぁ」の爽快感とは違う、静かな説得力がありました。
この流れのまま物語は辺境でのスローライフへと移っていきます。
薬草屋の開業、お姫様との再会——展開は落ち着いたものが続き、
スローライフが苦手な人にはここが退屈に映るかもしれません。
一方で、辺境に集まる冒険者たちとのやり取りが始まると雰囲気が変わってきます。
この土地で何かが起きているという気配が漂い始め、読んでいてぐっと引き込まれる感覚がありました。
世界設定や伏線の扱いが丁寧で、「2巻では何が起きるのか」という期待感は1巻を読み終えた時点でしっかり持てます。
スローライフの比重が大きく、主人公は強さで無双するタイプではない。
そういう作品だと理解して読み始めると、むしろその中での細やかな楽しさが味わいやすくなる1冊だと思います。
まとめ
穏やかでじんわり読める「追放もの×スローライフ」の1冊です。
力より「役に立つこと」で生きてきた主人公の在り方と、辺境でのゆっくりとした再出発が静かに描かれています。
激しい逆転劇よりも、のんびりした日常の中に広がる世界観を楽しめる人に向いています。
設定の作り込みが気になってきたところで1巻が終わるので、続きが気になる読者はぜひ手にとってみてください。