『アラサーがVTuberになった話。』(1巻)感想・レビュー
波乱だらけなのに、なぜか応援したくなるVTuber日常

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★★★★★★★★★★4.0 / 5

ブラック企業を辞めたアラサーが、なぜかVTuberになる。とくめい先生の『アラサーがVTuberになった話。』は、2022年9月にKADOKAWAから刊行された配信もの作品です(イラスト:カラスBTK)。派手なバトルも異世界転移もなく、ひたすら配信者としての日常を丁寧に描いているのに、なぜか続きが気になってページをめくる手が止まらない。そんな不思議な引力が本作の読みどころです。

それだけでも十分に目を引く設定ですが、本作の魅力はそこだけに留まりません。派手なバトルも異世界転移もなく、ひたすら「配信者としての日常」を丁寧に描いているのに、なぜか続きが気になって、ページをめくる手が止まらない。

そんな不思議な引力のある作品でした。

総合評価 ★4.0|派手な展開はなくても「配信者としての日常」を丁寧に描き、波乱続きの主人公をなぜか応援したくなる引力のある1巻。VTuber・配信者ものが好きな人におすすめです。

目次

『アラサーがVTuberになった話。』はどんな作品?

ブラック企業を退職したアラサーの主人公が、妹の後押しでバーチャルタレント企業に所属し、VTuber・神坂怜としてデビューする物語です。

女性VTuberが中心の事務所で男性Vとして活動するだけでも周囲の目は厳しく、デビュー直後から同期の炎上騒動にも巻き込まれることに。配信者として右も左もわからないまま飛び込んだ、怒涛のスタートを描く1巻です。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、アラサーがVTuberになった話。からどうぞ。

向いている人

VTuberや配信者ものが好きな人

配信シーン、視聴者の反応、掲示板の盛り上がり、企業所属ならではの空気感など、VTuberものとして読みたい要素がしっかり詰まっています。配信者ものが好きな方には、特に合いやすい内容です。

日常寄りの作品でじっくり楽しみたい人

ダンジョンに潜って配信するような派手な設定はなく、あくまで日々の活動がメインです。「いかにも異世界」な展開より、リアルな配信者の日常に近い雰囲気を楽しみたい人に向いています。

波乱の多い主人公をじっくり見守るのが好きな人

主人公はかなり大変な状況に置かれますが、そのぶん応援したくなる魅力があります。うまくいかない状況でも少しずつ前に進む主人公を見守りたい方におすすめです。

掲示板ネタや視聴者反応が好きな人

炎上やアンチを扱いながらも、掲示板パートが作品全体の空気を程よく軽くしています。掲示板ならではのテンポや空気感が好きな人には、ちょうど良いアクセントになっていると思います。

キャラの多い作品でも楽しめる人

1巻から登場人物は多めですが、それぞれの個性や立ち位置がわかりやすいため、思ったより混乱せずに読めました。キャラの関係性も楽しみたい方に向いています。

合わないかもしれない人

派手なバトルや冒険が読みたい人

本作にファンタジー的な冒険やバトル要素はありません。VTuberという設定を活かした配信者日常ものですので、そういった展開を期待すると物足りなく感じるかもしれません。

炎上やアンチ描写が苦手な人

男性Vというだけで序盤から厳しい反応が続く描写があります。作品全体としては重くなりすぎない工夫がされていますが、この種の展開が気になる方はご注意ください。

ページ数の割に情報が詰まった作品が苦手な人

1巻の時点でかなり内容が詰まっていて、「まだ半分か」と少し驚く場面もありました。軽く短時間でさくっと読むというより、じっくり楽しむ一冊という印象です。

VTuber文化にあまり馴染みのない人

配信、企業所属V、視聴者の反応、掲示板などが作品の中心的な要素になっています。VTuberや配信文化に馴染みがないと、少し世界観に入りにくく感じるかもしれません。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

『アラサーがVTuberになった話。』(1巻)は、読み始めたら思った以上に続きが気になる一冊でした。

派手なバトルがあるわけでも、異世界に転生するわけでもありません。ブラック企業を辞めたアラサーが手探りでVTuberとして活動し、視聴者の反応を受けながら周囲の騒動に巻き込まれていく。出来事だけを見るとかなり大変な状況ですが、その積み重ねが不思議と読みやすく、気づけば主人公を応援しながら読んでいました。

本作が読みやすかった大きな理由は、主人公に素直に好感が持てるところだと思います。

ブラック企業退職後にVTuberデビューし、男性Vというだけで厳しい反応を受け、デビュー直後からトラブルにも巻き込まれる。客観的に見るとかなりしんどい状況ですが、主人公が変にひねくれていないため、読んでいて重くなりすぎません。

大変な中でも自分なりに頑張ろうとしている姿があるので、自然と「うまくいってほしいな」と思いながら読み進められました。波乱の多い展開でも不快感が少なく読めたのは、この主人公の人柄が大きいと感じます。

また、1巻の時点でかなり情報量が多いのも印象に残りました。

VTuberとしての活動、掲示板の反応、同期や周囲のキャラとの関係、企業所属ならではの空気感など、序盤から多くの要素が入っています。「だいぶ読んだな」と感じてページを確認したらまだ半分だったので、思った以上に内容が詰まっている巻でした。

それでも読み疲れしにくかったのは、配信シーンや掲示板パート、キャラ同士のやり取りがうまく挟まれているからだと思います。登場キャラも多めですが、それぞれの立ち位置や個性が分かりやすく、「このキャラ誰だっけ?」という混乱が起きにくいのも読みやすさにつながっていました。

特に掲示板パートは、本作の空気をかなり支えている部分だと思います。

主人公の状況だけを追うと、炎上やアンチの描写でかなり重い話になりそうです。けれど、掲示板の反応や視聴者の盛り上がりが入ることで、作品全体の空気が沈みすぎません。現実だったら笑えないような出来事でも、フィクションとしてちょうど良いバランスで楽しめました。

単なる配信者ものとしての日常だけでなく、主人公の過去や内面にはまだ明かされていない部分もあります。そのため、読み終えたあとには「この先、主人公がどう受け止められていくのか」「周囲との関係がどう変わっていくのか」も気になりました。

1巻としては、VTuber活動の日常を楽しみながら、波乱の多い主人公をじっくり応援できる導入巻だったと思います。次巻への引きも十分で、続きが楽しみになる一冊でした。

まとめ

『アラサーがVTuberになった話。』1巻は、VTuber活動の日常をリアルに描きながら、波乱の多い主人公をじっくり応援できる一冊でした。炎上やアンチといった重くなりやすい題材を、掲示板パートのにぎやかさが程よく和らげるバランスも見事です。派手な展開を求める人には物足りないかもしれませんが、配信者ものや地道に頑張る主人公の物語が好きな方には強くおすすめ。次巻への引きも十分な、シリーズの好スタートです。

炎上やアンチといった重くなりやすい要素を、掲示板ネタが程よく和らげているバランスも良く、VTuberや配信者ものが好きな方はもちろん、「地道に頑張る主人公の話が読みたい」という方にもおすすめです。

次巻への引きも十分で、続きが楽しみになりました。波乱の多いVTuber日常が気になる方は、手に取ってみてもよい一冊だと思います。

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