『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01』(1巻)感想・レビュー
現代×ダンジョンを理屈でほどく検証型の面白さ

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★★★★★★★★★★5.0 / 5

ダンジョンが現代社会に定着して3年——社畜気味の会社員だった芳村が、思いがけない偶然から世界ランキング1位に名を連ね、世界の注目を集めていく——。

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01』は、之貫紀による新文芸作品(KADOKAWA/2020年刊)で、現代×ダンジョンを描く人気シリーズの第1巻です(イラスト:ttl)。

単純に強敵を倒して進むのではなく、スキルや仕組みを検証しながら状況を切り開いていくのが大きな特徴。「ダンジョンが現代に本当にあったら」を理詰めで考える面白さが詰まっています。

総合評価 ★5.0|現代社会×ダンジョンを理屈でほどいていく検証型の面白さが光る導入巻。派手な無双より「考えて進む」主人公が好きな人に刺さります。

目次

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01』はどんな作品?

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01』は、ダンジョン出現から3年が経ち、攻略が社会の一部になった現代日本を舞台にした作品です。

主人公の芳村は、社畜気味の会社員として日々を過ごしていましたが、ある偶然から世界ランキング1位に名を連ねることになります。その後、自由な生活を求めて会社を辞めてダンジョンへ関わっていきますが、手に入れた未知のスキルや周囲の思惑によって、思い描いていた「のんびりした生活」から少しずつ遠ざかっていきます。

本作の面白さは、主人公が勢いだけで突っ走るのではなく、状況を整理し、調べ、考え、試しながら前に進んでいくところ。派手な設定はありつつも読後の印象はかなり理詰め寄りで、「ダンジョンが現代に本当にあったらどうなるか」を考える面白さが強い作品でした。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01からどうぞ。

向いている人

現代社会の中で動くダンジョン作品が好きな人

冒険だけでなく、会社勤めの感覚や社会との接点がしっかり描かれています。異世界ではなく、現代の延長としてダンジョンを楽しみたい人に向いています。

考察や検証をしながら進む主人公が好きな人

芳村は力押しよりも、まず確認・分析から入るタイプです。スキルや現象を丁寧に見ていく流れが面白く、研究者気質の主人公が好きな人には特に相性のいい作品です。

目立ちたくないのに目立ってしまう展開が好きな人

本人はのんびりしたいのに、そう簡単には放っておいてもらえません。「静かに暮らしたいのに目立ってしまう」流れが好きな人には相性がいいです。

世界観の仕組みや設定を味わいたい人

ダンジョンそのものだけでなく、それを取り巻く空気や社会の動きも見どころです。設定を読む楽しさがある作品を求めている人に向いています。

派手さだけでなく、少し頭を使う面白さを求める人

爽快感一辺倒ではなく、「次に何が起こるのか」「どう整理するのか」を楽しむタイプです。ただ強いだけの主人公より、状況を組み立てる主人公が好きな人におすすめです。

合わないかもしれない人

異世界ファンタジー色の強いダンジョンものを求める人

本作は現代日本ベースなので、剣と魔法の王道異世界感を期待すると少し印象が違うかもしれません。

バトルの勢いと爽快感を最優先したい人

戦闘要素がないわけではありませんが、作品の軸は検証や状況整理にあります。とにかくテンポよく戦い続けてほしい人にはやや合わない可能性があります。

説明や設定の確認が多いとテンポが落ちると感じる人

スキルや周辺状況を丁寧に扱うぶん、情報量は比較的多めです。細かい確認より勢い重視で読みたい人には少し引っかかるかもしれません。

ひたすら癒やし系の日常を期待している人

退職して自由を得る流れはありますが、実際には落ち着いてのんびり過ごす方向にはあまり進みません。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01』は、ダンジョン攻略の面白さと、それが現代社会に存在する違和感の両方を楽しめる作品でした。

特に印象に残ったのは、主人公が何かを得たあとすぐに万能感へ進むのではなく、「それは何なのか」「どう使えるのか」「周囲はどう動くのか」を一つずつ確認していくところです。この慎重さがあるおかげで物語に独特の説得力が生まれ、単なるラッキーな成り上がりだけで終わらない面白さにつながっていました。

また、社畜生活から抜け出したはずなのに、別の意味で忙しくなっていく流れも本作らしい味です。スローライフを目指しているのに、好奇心や状況の変化のせいでそうならない——このズレが、コミカルさと先の気になる感覚の両方を生んでいました。

さらに、世界ランキング1位という目立つ立場になったことで、個人の探索だけでは済まなくなっていく空気も良かったです。社会の反応や周囲との距離感があることで、ダンジョンを巡る話がちゃんと「世界の出来事」として広がって見えました。

全体として1巻は、大きな世界観と主人公の立ち位置をしっかり見せながら、今後もっと面白くなりそうだと思わせる導入巻でした。派手な無双よりも、現代ダンジョンを理屈でほどいていく面白さを求める人には、かなり相性のいい一冊だと思います。

まとめ

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年』1巻は、攻略が社会に定着した現代日本を舞台に、検証と分析で状況を切り開いていく主人公・芳村の面白さが光る導入巻です。派手な無双ではなく、「ダンジョンが現代にあったらどうなるか」を理屈でほどいていく説得力が、本巻いちばんの魅力でした。

現代×ダンジョンの設定や、考えて進む主人公を楽しみたい人に特におすすめです。大きな世界観と主人公の立ち位置を見せつつ、今後への期待をしっかり高めてくれる、シリーズの入口にふさわしい一冊でした。

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