『賢者の弟子を名乗る賢者 3』感想・レビュー
術の審査会と召喚術の応用が光る第3巻

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★★★★★★★★★★4.5 / 5

ソウルハウル捜索で得た資料を持ち帰ったミラは、その解析のために新たな迷宮『愚者の脅威の部屋』の攻略へ——その傍ら、術の審査会で思わぬ形で実力を見せることになる。

『賢者の弟子を名乗る賢者 3』は、りゅうせんひろつぐによるGCノベルズの召喚術ファンタジーで、2015年刊行の第3巻です(イラスト:藤ちょこ)。

実力を読み切れていない相手が絡んできて、結果的に差を見せつける——その気持ちよさが今巻の核。さらに、ゲーム時代は攻撃手段だった召喚獣を移動や飛行に活かすなど、「現実になったからこそできること」の発見も広がります。

総合評価 ★4.5|持ち帰った資料の解析と新たな迷宮、そして術の審査会——実力を読み違えた相手の見方が変わる気持ちよさと、召喚術の意外な応用が光る第3巻です。

目次

『賢者の弟子を名乗る賢者 3』はどんな作品?

『賢者の弟子を名乗る賢者 3』は、ソウルハウル捜索で手に入れた資料を持ち帰ったミラが、その解析と新たな迷宮攻略に関わっていく物語です。

ソウルハウルの捜索は決定打こそ得られなかったものの、いくつかの手がかりは残されます。それを受けてミラはルナティックレイクへ戻り、盟友ソロモンに資料の解析を任せますが、その作業は簡単には進みません。

というのも、その資料を読み解くには、アルカイト王国の地下に存在する『愚者の脅威の部屋(フール・ザ・ヴンダーカンマー)』を攻略する必要があったからです。

こうして3巻では、新たな迷宮にまつわる展開が動き出す一方で、ミラ自身にも別の試練が近づいていきます。

今巻の大きな見どころは、やはり術の審査会の面白さです。見学の流れから思わぬ形で主人公が関わることになり、周囲の見方が変わっていく展開には、かなりワクワク感がありました。

また本作らしい魅力として、ゲームだった世界が現実になったことで広がる可能性もしっかり描かれています。

たとえばゲーム時代には攻撃手段として扱っていた召喚獣が、現実になった世界では移動や飛行にも活かせるなど、「その使い方があったか」と思える発見が出てくるのが面白いところです。

その意味で3巻は、シリーズの軸である九賢者探しを進めつつ、主人公の活躍・召喚術の広がり・新たな謎をしっかり楽しめる1冊だったと思います。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、賢者の弟子を名乗る賢者 3からどうぞ。

向いている人

ゲーム世界が現実になった設定が好きな人

今巻でも、ゲーム時代にはできなかったことが現実では可能になっていて、世界の広がりを感じやすいです。

主人公の実力が周囲に伝わる展開が好きな人

術の審査会では、主人公の力量を見誤った相手の見方が変わるような、気持ちいい流れを楽しめます。

召喚術の応用や工夫を見るのが好きな人

単に強いだけでなく、召喚術をどう使うかという面白さがあります。飛行する召喚獣の活かし方なども印象的です。

主人公の活躍を楽しみたい人

「主人公の凄さを見せる」系の展開が好きな人にはかなり相性がいいです。周囲の反応も含めて楽しみやすい巻だと思います。

シリーズの謎や世界観の広がりを追いたい人

九賢者探しだけでなく、新たな謎も増えていきます。この先の展開を追いかけたくなる作りです。

前巻を楽しめた人

作品の雰囲気や魅力は3巻でもそのまま続いています。2巻までが合ったなら、今巻も違和感なく楽しめるはずです。

合わないかもしれない人

女の子主人公が苦手な人

主人公ミラの見た目は可愛らしい少女です。この時点で読みづらさを感じる人にはやや厳しいかもしれません。

外見と中身のギャップ設定が苦手な人

見た目は少女ですが、言動には老練な賢者らしさが残っています。このギャップが本作の個性でもあるため、苦手だと入り込みにくいです。

最初から重厚でシリアス一辺倒な物語を求める人

謎や試練はありますが、読み味は比較的軽快です。終始ずっしり重い空気を期待すると少し方向が違うかもしれません。

早い段階で謎がどんどん解消されてほしい人

今巻では新たな謎も増えていきます。物語の全体像が一気に見えてくるタイプではないため、テンポ重視の人には少しもどかしく感じる可能性があります。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

『賢者の弟子を名乗る賢者 3』は、術の審査会と召喚術の広がりが楽しい巻でした。

今巻でいちばん印象に残ったのは、やはり術の審査会です。こういう、主人公の実力を読み切れていない相手が絡んできて、結果的にその差を見せつけるような展開はやはり面白いです。

個人的にも「主人公の実力を読めずに絡んできた相手にギャフンと言わせる」タイプのシチュエーションはかなり好きなので、今巻のこの流れは素直に楽しく読めました。

周囲の空気が変わる瞬間や、「あれ、この子ただ者じゃないのでは」と認識が変わっていく感じには、わかりやすいワクワク感があります。

もちろん今巻の面白さは、それだけではありません。前巻まででも感じていた「ゲームの世界が現実になったらどうなるのか」という楽しさが、さらに広がっていたのも良かったです。

特に印象的だったのは、ゲーム時代では攻撃手段としての印象が強かった召喚獣が、現実になったことで移動や飛行にも活かせるようになっているところです。

こうした変化は、このシリーズならではの面白さだと思います。「現実になったからこそできること」がまだまだありそうで、今後どんな発見が出てくるのかも気になりました。

そしてやはり見どころは、ミラの活躍そのものです。今巻でも主人公の存在感はしっかりしていて、読んでいて気持ちのいい場面が多かったです。

一方で、ストーリー全体としては、九賢者探し以外にも新たな謎が増えてきた印象があります。

話が進んでいないわけではありませんが、「答えが見えてきた」というよりは「気になることがさらに増えてきた」という感覚の方が近いかもしれません。

ただ、この引っかかりがあるからこそ続きが気になりますし、今後どう回収されていくのか楽しみでもあります。

まとめ

3巻は、「主人公の活躍が映える面白さ」「ゲームと現実の違いが生む発見」「シリーズの謎がさらに広がる楽しさ」をしっかり味わえる巻でした。実力を読み違えた相手の認識が変わっていく術の審査会の気持ちよさに、召喚獣を飛行・移動に活かすといった本作ならではの発見が重なります。

主人公の凄さが周囲に伝わる展開や、召喚術の応用・工夫を楽しみたい人に特におすすめです。九賢者探しに加えて新たな謎も増えていくぶん、続きが気になる——シリーズを追う人ほど楽しめる一冊でした。

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