『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』(1巻)感想・レビュー
力より「役に立つこと」で生きるレッドの辺境スローライフ

この記事にはアフィリエイト広告を含みます。
★★★★★★★★★★3.5 / 5

勇者パーティーの英雄として最前線で戦ってきたレッドが、「ついていけない」と賢者から戦力外を告げられ、パーティーを追い出される——。それでも前向きに、辺境で薬草屋を開いて第二の人生を始めます。

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』は、ざっぽんによる角川スニーカー文庫の作品で、2018年刊行の第1巻です(イラスト:やすも)「小説家になろう」発でアニメ化もされた人気作です。

力で無双するのではなく、縁の下の力持ちとして必要とされてきた主人公の在り方と、辺境スローライフの中で丁寧に作り込まれていく世界観が魅力。穏やかな日常の先に何かが動き出す気配が、続きへの期待を高めます。

総合評価 ★3.5|力より「役に立つこと」で生きてきた主人公の静かな再出発。丁寧な世界設定とスローライフがじんわり効く、追放もの×スローライフの良作です。

目次

『真の仲間じゃないと』はどんな作品?

勇者パーティーの英雄として最前線で戦ってきたレッドでしたが、ついていけなくなったとして仲間の賢者から戦力外を告げられ、パーティーを追い出されてしまいます。それでも本人は前向きに受け止め、辺境の地で薬草屋を開業し、新たな人生を歩み始めます。

力で無双するタイプではない主人公が、辺境での暮らしの中に自分の居場所を見つけていく物語です。やがて、かつての仲間であるお姫様リットも彼のもとを訪れ、二人のスローライフが少しずつ動き出していきます。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしましたからどうぞ。

向いている人

「縁の下の力持ち」タイプの主人公が好きな人

レッドは規格外のチートキャラクターではありません。勇者パーティーの中では戦力不足と判断されてしまいますが、一般的には十分に強く、何より「別の面でパーティーを支えてきた」という立ち位置が特徴的です。力で無双するのではなく、フォロー役として必要とされてきた主人公の在り方に共感できる人には、レッドの魅力がしっかり伝わってきます。

続きを読みたくなる世界観の作り込みが好きな人

辺境の薬草屋という舞台や、その土地に集まる冒険者たちの描写には、日常に留まらない広がりがあります。特に辺境の冒険者たちが物語に絡んでくる場面では、世界の背景にある何かが動き出す気配があり、先を読みたいという気持ちを引き立てます。「2巻以降で何かが起きそう」という期待が自然と高まる1冊です。

のんびりしたペースでキャラクターの関係性を楽しみたい人

大きなバトルや劇的な逆転よりも、キャラクター同士の交流や日常の積み重ねを大切にする作風です。レッドとお姫様の関係がゆっくりと育っていく様子をのんびり追いかけたい人には、居心地よく読み進められる作品です。

合わないかもしれない人

スローライフ展開があまり得意でない人

追放後のレッドは戦いではなく薬草屋の仕事を中心とした辺境ライフを送ります。追放ものによくある「隠された力で逆転する」という展開は1巻ではほとんど描かれず、穏やかな日常がメインです。激しい展開やスカッとする逆転劇を求めている人には、テンポが合わない場面があるかもしれません。

ラブコメの濃度に期待している人

お姫様との関係はほのかに描かれますが、がっつりしたラブコメ展開を期待すると物足りなく感じるかもしれません。「スローライフの中でじんわりと関係が育まれる」という距離感で、甘い場面は控えめです。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

読み始めはこれといった引っかかりを感じないまましばらく読み進めていました。「追放もの」と聞くと主人公が実は隠された力を持っていて……という展開を想像しがちですが、レッドはそういうタイプではありません。一般的には十分強いけれど、勇者パーティーの基準で見るとスペック不足と判断されてしまう、という立ち位置です。

「力で圧倒する爽快感」を求めて読み始めると肩透かしに感じるかもしれません。しかしこの「縁の下の力持ちとして必要とされていた」という設定には独特の味があります。追い出した側が後から困り果てるという構造は、いわゆる「ざまぁ」の爽快感とは違う、静かな説得力がありました。

この流れのまま物語は辺境でのスローライフへと移っていきます。薬草屋の開業、お姫様との再会——展開は落ち着いたものが続き、スローライフが苦手な人にはここが退屈に映るかもしれません。

一方で、辺境に集まる冒険者たちとのやり取りが始まると雰囲気が変わってきます。この土地で何かが起きているという気配が漂い始め、読んでいてぐっと引き込まれる感覚がありました。世界設定や伏線の扱いが丁寧で、「2巻では何が起きるのか」という期待感は1巻を読み終えた時点でしっかり持てます。

スローライフの比重が大きく、主人公は強さで無双するタイプではない——そういう作品だと理解して読み始めると、むしろその中での細やかな楽しさが味わいやすくなる1冊だと思います。

まとめ

『真の仲間じゃないと…』1巻は、力より「役に立つこと」で生きてきた主人公レッドの在り方と、辺境でのゆっくりとした再出発が静かに描かれる「追放もの×スローライフ」です。「ざまぁ」の爽快感とは違う静かな説得力と、丁寧に作り込まれた世界観が、本巻ならではの味わいになっていました。

激しい逆転劇よりも、のんびりした日常の中に広がる世界観や、じんわり育つ関係性を楽しめる人に特におすすめです。設定の作り込みが気になってきたところで1巻が終わるので、続きが気になる読後感の一冊でした。

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』の購入はこちら

紙書籍/電子書籍はこちら ↓


似た雰囲気の作品はこちら

目次