新たな碑文から行方不明者の手がかりを追ううちに、芳村たちは始まりのダンジョン「ザ・リング」に隠された問題へと近づいていく——。別々に見えた話題が、少しずつ一本の線へつながっていく——。
『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 04』は、之貫紀による新文芸作品(KADOKAWA/2021年刊)で、現代×ダンジョンを描く人気シリーズの第4巻です(イラスト:ttl)。
「なるほど、そこにつながるのか」という謎解きの気持ちよさに、記者会見やマスコミ、組織の反応といった社会的な広がりが重なる巻。実務寄りの探索者講習パートも入り、読み味が単調にならないのも魅力です。
総合評価 ★4.5|別々に見えた話題が一本の線へつながる謎解きの気持ちよさ。社会への波紋も強まり、現代ダンジョンものの厚みが増す巻です。
『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 04』はどんな作品?
『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 04』は、ダンジョン攻略が社会に深く入り込んだ現代日本を舞台に、元社畜の芳村たちが情報と検証を重ねながら進んでいく新文芸作品の第4巻です。
4巻では、新たに入手した碑文をきっかけに、ダンジョンで行方不明になった人物の手がかりを追う流れが動き出します。しかもその先には、始まりのダンジョン「ザ・リング」に隠された問題や、海外を巻き込む問題の気配まで見えてきます。
ただ、本作の面白さは今回も変わらず、勢いで突っ込むというより、手に入れた情報を整理し、仮説を立て、少しずつ全体像を見つけていくところにあります。
また今回は、ダンジョン内部の探索だけでなく、記者会見や世間の反応、組織やマスコミの動きもかなり強く絡んできます。そのため、個人の攻略物語としてだけでなく、「現代社会の中でダンジョンがどう扱われるか」という面白さがさらに強まっていました。
さらに、探索者講習のような実務寄りのパートもあり、緊張感のある本筋の中で読みやすいアクセントになっています。情報量は多めでも、単に難しいだけで終わらず、点と点がつながっていく気持ちよさがあるのが4巻の大きな特徴でした。
発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 04からどうぞ。向いている人
現代ダンジョン×社会の絡みが好きな人
記者会見をきっかけに、Dパワーズの動きが「世間の事件」として広がりはじめます。ダンジョン内部だけでなく、組織・世間・マスコミの動きまで楽しみたい人に向いています。
謎解きや調査が少しずつ広がっていく展開が好きな人
新しく手に入れた碑文から、行方不明者につながるサインが見つかり、そこから話がさらに広がっていきます。一気に答えを出すより、じわじわ全体像が見えてくる作品が好きな人におすすめです。
情報を整理しながら読む面白さが好きな人
今回はいくつかの話題が同時に動くぶん、整理できた時のスッキリ感があります。情報を追いながら読む面白さが好きな人にはかなり相性がいいです。
実務寄り・講習パートのある作品が好きな人
探索者講習のパートは、重たい話の合間の読みやすい要素になっています。戦闘一辺倒ではなく、こうした実務寄りの描写を楽しめる人にも向いています。
主人公は淡々としているのに、周囲だけ騒がしくなる展開が好きな人
Dパワーズは相変わらず落ち着いて動いているのに、周囲の受け取り方や熱量だけが上がっていくのがこのシリーズの味です。静かなノリのまま話が大きくなる作品が好きな人におすすめです。
合わないかもしれない人
話が一本の線でスッと進んでほしい人
今巻は会見、碑文、調査、社会の動きなど、同時に進む話が多めです。一直線の物語を求めると、やや散って見えるかもしれません。
バトル多め・テンポ最優先の作品を求める人
動きはありますが、軸はあくまで状況整理や調査寄りです。とにかく戦闘を次々見たい人には少し温度差がある可能性があります。
登場人物や組織が増えると混乱しやすい人
今回は扱う情報や関係者が増えていくので、「今どこを追っていたっけ」となりやすい人は区切りながら読むほうが合いそうです。
完全なのんびりしたスローライフを期待している人
主人公側は相変わらず落ち着いていますが、世界のほうはどんどん大きく動いていきます。癒やし寄りの日常を期待すると方向性は少し違って見えると思います。
感想・見どころ
※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。
『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 04』は、情報と検証で切り開く面白さに、社会の広がりと謎解きの気持ちよさが加わった巻でした。
特に印象に残ったのは、新しい碑文から行方不明者の手がかりを追い、そこから「ザ・リング」に隠れた問題へ近づいていく流れです。一見すると別々に見えていた話題が、少しずつ一本の線につながっていくので、読んでいて「なるほど、そこにつながるのか」という面白さがありました。
今回も芳村たちは、派手に動くというより、まず情報を見る、整理する、必要なら試す、という姿勢を崩しません。そのため物語の空気は比較的落ち着いているのに、外から見るとどんどん大きな話になっていく。この温度差が4巻でもしっかり効いていました。
また、記者会見やマスコミ、組織の反応が強く出てくることで、Dパワーズの行動が「探索者の中だけの話」で終わらず、社会全体に波紋を広げていくのも良かったです。現代ダンジョンものとしての魅力が、さらに一段強くなった印象があります。
個人的には、探索者講習のパートもかなり読みやすくて好みでした。本筋は謎や調査でじわじわ進む一方、こうした実務寄りの要素が入ることで、作品全体の読み味が単調にならないのも良かったです。
全体として4巻は、これまでの「理詰めで進む現代ダンジョンもの」という面白さをそのまま保ちつつ、そこへ社会的な広がりと、点と点がつながる調査の気持ちよさを加えた巻だったと思います。
「派手な無双」よりも、現代ダンジョンを情報と検証で少しずつ切り開いていく作品が好きな人には、かなり相性のいい一冊です。
まとめ
4巻は、情報と検証で切り開く面白さに、社会の広がりと謎解きの気持ちよさが加わった巻です。一見別々に見えていた話題が少しずつ一本の線につながっていく構成で、「なるほど、そこにつながるのか」という発見の面白さが本巻の読みどころでした。
記者会見やマスコミ、組織の反応が強く出ることで、Dパワーズの行動が探索者の中だけの話で終わらず社会全体へ波紋を広げていきます。実務寄りの探索者講習パートも読みやすく、現代ダンジョンものとしての厚みが一段増した一冊でした。
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