『勇者パーティーをクビになったので故郷に帰ったら、メンバー全員がついてきたんだが』(1巻)感想・レビュー
ツッコミが止まらない追放ハーレムラブコメ

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★★★★★★★★★★3.5 / 5

パーティーをクビになって傷心で故郷へ帰ったら、魔王を倒した元仲間が全員追いかけてきて、次々とプロポーズしてくる——。「追放系」の入口から始まる、まさかの逆展開ハーレムコメディです。

『勇者パーティーをクビになったので故郷に帰ったら、メンバー全員がついてきたんだが』は、木の芽による角川スニーカー文庫の作品で、2023年刊行の第1巻です(イラスト:希)

シリアスに構えると荒唐無稽な設定を、あえてコメディに振り切ることで、主人公ジンのツッコミとヒロインたちの暴走が軽快に転がります。難しいことを考えずに笑えるラブコメを探している人向けの一冊です。

総合評価 ★3.5|「追放系」の逆パターンで悲壮感ゼロ。主人公のツッコミとヒロインの暴走が軽快なハーレムコメディです。テンポよく笑える1冊を探している人に。

目次

『勇者パーティーをクビになったので故郷に帰ったら』はどんな作品?

幼馴染の勇者・レキとともに魔王討伐を目指してきた主人公ジンは、決戦直前に突然別れを告げられます。傷心のまま故郷へ戻ったジンのもとに、やがて魔王を倒したパーティーメンバー全員が押しかけてきて、次々とプロポーズを迫ってきます。

三人との幼少期の約束が絡んでいるようですが、当のジンにはまったく自覚がなく、思いがけないハーレム生活が幕を開けます。ハーレム×スローライフファンタジーを謳ったラブコメ作品です。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、勇者パーティーをクビになったので故郷に帰ったら、メンバー全員がついてきたんだがからどうぞ。

向いている人

テンポよく読めるギャグ・ラブコメを探している人

本作は激しいバトルや重たいシナリオがなく、ほぼ全編ギャグとラブコメで構成されています。読みやすい文体と軽快な展開が続くので、気軽にサクッと読み進められる一冊です。「とにかく笑える・ほっこりできる」作品を探している方にちょうどよい雰囲気です。

主人公のツッコミが好きな人

ヒロインたちが次々と過激なアプローチをしかけてくるのに対し、ジンのリアクションとツッコミが本作の笑いの核になっています。「み、皆ちょっと落ち着いてくれ!というキャッチコピーそのままの状況が連発されるので、お人好しで少し慌てっぷりな主人公のやり取りが好きな方に楽しめます。

追放系の「逆パターン」を楽しみたい人

「パーティーを追い出された」という追放系の入り口から始まりながら、実はメンバー全員に愛されていたという逆展開になっています。復讐劇や成り上がりはありませんが、そのぶん悲壮感がなく爽やかに読めます。追放系の定番とは一味違う方向性を楽しみたい方におすすめです。

合わないかもしれない人

追放系の成り上がり・ザマア展開を期待している人

タイトルから追放系の定番展開(元パーティーへの逆転・復讐・活躍見せつけなど)を期待すると、本作は大きく外れた方向に進みます。主人公はほぼ流されっぱなしで、爽快なザマアや成長ドラマは薄めです。追放後の逆転劇よりもコメディとして楽しみたい方向けの作品です。

キャラクターの内面描写や恋愛の積み重ねを重視する人

1巻はテンポと笑いを優先したコメディ構成で、ヒロインたちがなぜジンに惹かれているかという背景はあまり深く語られません。キャラクターの心情をじっくり描いた恋愛ものを求める方には、やや物足りない印象があるかもしれません。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

1巻を読んで一番印象に残ったのは、ジンのツッコミのテンポの良さです。ヒロインたちが常識外れのアプローチをしかけてくる中、ジンがその都度リアクションするやり取りが繰り返されるのですが、笑いのリズムが安定していてストレスなく読めました。木の芽さんの文章は読みやすく、ノリが軽い割にしっかり笑えるバランスが取れています。

その軽さが活きているのが、設定のぶっ飛び具合とのバランスです。「魔王を倒した直後にヒロイン全員が追いかけてくる」という展開は、シリアスに描こうとすれば荒唐無稽になりますが、本作はあくまでコメディとして割り切っているので、「なぜそうなるんだ」と突っ込みながらも素直に楽しめます。この「突っ込みながら笑う」感覚が1巻を通じて崩れないのは好印象でした。

一方で、キャラクターの掘り下げという面では1巻の段階では浅めです。ヒロインごとにアプローチの個性はあるものの、ジンへの感情の背景や幼少期の約束の詳細はほとんど語られないまま話が進みます。ラブコメとしての「心情の積み重ね」よりも状況のテンポと面白さで引っ張るタイプの作品なので、その点を割り切って読むと気持ちよく楽しめると思います。

まとめ

『勇者パーティーをクビになったので故郷に帰ったら、メンバー全員がついてきたんだが』1巻は、タイトルの「クビ」から想像する重い展開を良い意味で裏切る、追放系の入口を使ったハーレムコメディです。荒唐無稽な設定をあえてコメディに振り切り、主人公ジンのツッコミとヒロインの暴走が崩れないテンポで転がっていくのが、本巻いちばんの持ち味でした。

復讐やザマア、心情の積み重ねよりも、軽快に笑えるテンポを楽しみたい人に特におすすめです。1巻は掘り下げが浅めなぶん、2巻以降でキャラクターの関係性がどう深まるか、続きが気になる読後感でした。

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