『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 09』(9巻)感想・レビュー
重い題材の緊張感と検証の楽しさが同居する巻

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★★★★★★★★★★4.0 / 5

ダンジョンからプルトニウムをドロップさせようとする勢力が、ついに動き出す——。題材が題材だけに、これまでの「よかった」で軽く流せない、シリーズ屈指の重さが押し寄せる——。

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 09』は、之貫紀による新文芸作品(KADOKAWA/2024年刊)で、現代×ダンジョンを描く人気シリーズの第9巻です(イラスト:ttl)

メインの危うい題材で強い緊張感がありつつ、NYイベントのデータ収集やコマンド探しといった検証の楽しさも同居。事件の重さとイベントの楽しさが重なる、情報量の多い一冊です。

総合評価 ★4.0|プルトニウムを巡る危うい題材でシリーズ屈指の重さ。緊張感だけに寄らず、NYイベントの検証の楽しさも同居する密度の高い巻です。

目次

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 09』はどんな作品?

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 09』は、プルトニウムを迷宮からドロップさせようとする勢力を巡って、芳村たちが動き回る巻です。

NYイベントでのデータ収集やステータス計測デバイスの発売、一坪農園の管理引き継ぎなど、ただでさえやることが多い中で、さらに危険な動きが表面化していくので、全体を通してかなり慌ただしく進んでいきます。

今回の面白さは、単にひとつの事件を追うだけではなく、複数の出来事が同時並行で進みながら、全体として大きな不穏さにつながっていくところにあると感じました。

また、海外イベントまわりの描写は重苦しさ一辺倒ではなく、ステータスを調べたり、カードの隠しコマンドを探したりと、このシリーズらしい「検証して確かめる楽しさ」もきちんと残っています。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 09からどうぞ。

向いている人

ダンジョン攻略だけでなく、社会や組織の動きも楽しみたい人

今回は危険な題材を扱うだけに、個人の行動だけでなく周囲の思惑も強く見えてきます。

複数の話が同時に進む情報量の多い巻が好きな人

ひとつの事件だけに絞らず、いろいろな動きが重なっていくので、読んでいて広がりがあります。

理屈や検証の面白さが好きな人

イベントまわりでは、ステータス計測やコマンド探しなど、読んでいてわくわくする要素もありました。

重めのテーマでも読みごたえとして楽しめる人

プルトニウムを巡る話だけあって、今回の主題はかなり重いです。その緊張感も含めて味わいたい人には向いています。

シリーズを追ってきて、次の展開が気になる人

一冊の中に多くの話が詰まっていて、続きへの引きも十分に感じられる巻でした。

合わないかもしれない人

明るく軽い雰囲気だけを求めている人

今回のメインはかなり重い題材なので、気楽に楽しむだけの巻ではありません。

登場人物が多い作品が苦手な人

このシリーズ全体の特徴でもありますが、09巻もキャラが多く、誰が誰だったか迷う場面はありました。

ひとつの話をすっきり追いたい人

同時進行でいろいろな出来事が動くので、一本に集中した読み味とは少し違います。

勢いだけのバトルや爽快感を最優先で求める人

今回は派手さよりも、状況の危うさや判断の重みが印象に残る巻です。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 09』は、プルトニウムを迷宮からドロップさせようとする勢力という、かなり危うい話を扱っているだけあって、シリーズの中でも重さを感じやすい巻でした。

題材が題材なので当然とも言えますが、今回は「よかった」で軽く流せるような空気ではなく、状況そのものの危険さがしっかり伝わってきます。メインの話はやはりメインだけあって、読んでいて緊張感がありました。

一方で、この巻の良さは重い話だけに寄り切っていないところだと思います。NYイベントでは、データ収集やステータス計測デバイス、カードに隠されたコマンド探しなど、読んでいて素直に楽しそうだと感じる場面がありました。

このシリーズは、「現代社会にダンジョンがあったら何が起きるか」を、危機や陰謀だけでなく、検証や技術面の面白さでも見せてくれるのが魅力ですが、09巻でもその強みがしっかり出ていたと思います。

また、今回は一冊の中にいろいろな話が詰まっていて、同時並行で進むからこその面白さがありました。事件の重さ、イベントの楽しさ、周囲の動き、不穏な空気が重なって、「情報量が多いのにちゃんと面白い」という、このシリーズらしさを感じます。

ただ、その反面、キャラが多くて誰だったか分からなくなるところは少し気になりました。ここはシリーズ全体の特徴でもありますが、話が広がるほど人物の整理が難しくなるので、人によっては少し読みづらさを感じるかもしれません。

それでも、全体としてはかなり楽しめました。重い主題を軸にしながらも、検証やイベントの面白さがきちんと入っていて、今回もいろいろな要素がしっかり詰まっている巻だと感じました。

まとめ

9巻は、ダンジョンでプルトニウムをドロップさせようとする勢力という危うい題材を扱うだけあって、シリーズの中でも重さを感じやすい巻です。題材の危険さがしっかり伝わり、メインの話には強い緊張感がありました。

一方で、NYイベントのデータ収集やコマンド探しなど、検証や技術面の楽しさも同居しているのが本巻の良さです。事件の重さとイベントの楽しさが重なり、「情報量が多いのにちゃんと面白い」シリーズらしさが出ています。ただ、登場人物が多く把握しづらい場面もあり、そこは少し気になりました。

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