『日本国召喚 七 斜陽の帝国』(7巻)感想・レビュー
捕らわれた皇太子と帝国大艦隊の日本侵攻

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★★★★★★★★★★4.0 / 5
『日本国召喚 七 斜陽の帝国』(7巻)みのろう(著)/toi8(イラスト)/KADOKAWA・カドカワBOOKS の書影

皇太子が前線へ向かったところで幕を閉じた前巻から、物語は一気に大きく動きます。『日本国召喚 七 斜陽の帝国』(7巻)は、敵国の皇太子を抱えることになった日本と、その奪還を掲げて本土侵攻へ踏み切るグラ・バルカス帝国を描く一冊です。

みのろうによる国家転移ファンタジーのシリーズ第7巻で、イラストはtoi8、口絵・本文イラストは高野千春が担当しています。1〜6巻はぽにきゃんBOOKS版の再発行でしたが、この7巻はカドカワBOOKSから刊行された、前巻から約6年ぶりの新刊です。

今巻で前に出てくるのは、捕らわれの身となった皇太子グラ・カバルの目に映る日本の姿です。治療を終えた彼は日本の各地を見て回り、帝国との差を一つずつ思い知らされていきます。その一方で帝国は大艦隊を動かし、戦いはついに日本の本土をうかがう段階へ進みます。

総合評価 ★4.0|捕らわれた皇太子が日本を知っていく過程と、帝国大艦隊の侵攻が並行して進む第7巻。約6年ぶりの新刊にふさわしく、戦局が大きく動くまま次巻へつながる読みごたえのある一冊です。

目次

『日本国召喚』はどんな作品?

『日本国召喚』は、ある日突然、日本が国ごと異世界へ呼び出されてしまう物語です。7巻では、日本とムー国を含む連合軍が帝国の最前線基地を攻め、視察に訪れていた皇太子グラ・カバルが重傷を負って日本へ運ばれます。

日本政府は皇太子の身柄を「外交カード」として慎重に扱い、引き渡しには応じません。これに対して帝国は、人質交渉には屈しないという建国以来の掟を掲げ、日本本土への大規模な攻撃へ動き出します。神聖ミリシアル帝国や周辺の国々も、それぞれの思惑を抱えてこの戦いに関わっていきます。

なお、1〜6巻のカドカワBOOKS版はぽにきゃんBOOKS版の再発行でしたが、7巻はカドカワBOOKSで初めて刊行された巻です。6巻までを旧版で読んでいた方にとっても、ここからが新しい続きになります。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、日本国召喚 七 斜陽の帝国からどうぞ。

向いている人

異世界の人の目で「日本」を見直したい人

今巻の大きな読みどころは、帝国の皇太子が日本を見て回るくだりです。地下鉄や新幹線、高層の建物、旅客機、地方の暮らしぶりまで、私たちが見慣れたものが、建設工学を学んだ彼の目を通すと途方もない技術の積み重ねとして映ります。自分たちの国を少し違う角度から眺め直せる面白さがあります。

大規模な海と空の戦いを読みたい人

後半は、海を覆うほどの帝国艦隊と日本の防衛戦が中心になります。潜水艦、哨戒機、戦闘機、早期警戒管制機と、それぞれの装備がどんな役割で戦いに加わるのかが細かく描かれ、攻める側と迎え撃つ側の両方の視点で追いかけられます。

国家どうしの駆け引きを追いたい人

日本と帝国の外交交渉、侵攻を静観しながら次の一手を探る神聖ミリシアル帝国、強国の間で揺れる小国。戦場の外でも、それぞれの国がそれぞれの計算で動いています。前線の戦闘と同じくらい、会議室や王宮の場面にもページが割かれています。

合わないかもしれない人

一冊で区切りのつく展開を求める人

戦局が大きく動いたところで巻が終わるので、読み終えたときにすっきりした区切りは感じにくいです。続きをすぐに読めないと落ち着かない人は、次巻の刊行を待ってからまとめて読むのもありだと思います。

兵器の説明や数字の多い文章が苦手な人

艦艇や航空機の数、速度や射程、誘導の仕組みなど、具体的な数字や専門用語が多く出てきます。こうした描写がこの作品らしさでもありますが、物語の流れだけを追いたい人には少し重たく感じられるかもしれません。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

第13章は、帝国の最前線基地をめぐる戦いから始まります。その結果として、敵国の皇太子が日本の本土へ運ばれることに。治療の甲斐あって意識を取り戻したのはよかったのですが、日本政府にとってはこれ、かなり頭の痛い話になるのではと読みながら心配になりました。

第14章は、皇太子が日本を見て回る話です。敵国に捕らわれてもあの堂々とした態度を崩さないあたりは、さすが皇族だなと思いました。一方で、帝国は戦争を続ける方向へ進むのかと驚かされます。日本を知った皇太子が戦争を止める側に回ってくれるのでは、と期待もしたのですが、思い返せばこの人、前巻では雑誌の書きぶりに意地になって前線へ出てきた人物でした。仮に本人が何かを訴えたとしても、本国が耳を貸すのかどうか、少し不安が残ります。

第15章で、とうとう戦いが始まります。驚いたのは、帝国の側につく国が現れたことでした。日本はともかく、ほかの国々が黙っているはずがないのに、と思わず突っ込みたくなりましたが、その国にも引くに引けない事情があるようです。最初のぶつかり合いの行方は本編で確かめてほしいところですが、ひとまず息をつくことができました。

第16章では、帝国側に大きな被害が出ていきます。流れは日本に傾いているように見えても、帝国もこのままでは終わらず、戦いの場は一気にいくつもの方面へ広がります。ここからどうなるのやら、と思ったところで巻が閉じます。

まとめ

『日本国召喚』7巻は、捕らわれた皇太子グラ・カバルが日本という国を知っていく過程と、その奪還を掲げた帝国大艦隊の侵攻が並行して描かれる一冊です。約6年ぶりの新刊として、物語は帝国との戦いの新しい局面へ入ります。

兵器や数字の多い描写は好みが分かれますが、異世界の人の目を通して日本を見直す場面と、国どうしの思惑が絡み合う戦局の両方を楽しめました。話が途中で終わっているので、次巻が楽しみです。

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