『俺は全てを【パリイ】する2~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~』(2巻)感想・ネタバレ解説
厄災の魔竜と魔導皇国に挑む、いきなりクライマックスの第2巻

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★★★★★★★★★★4.0 / 5
『俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』(2巻)鍋敷(著)/カワグチ(イラスト)/アース・スターエンターテイメント・アース・スター ノベル の書影

王都に厄災の魔竜が迫り、王国が存亡の瀬戸際に立たされる。『俺は全てを【パリイ】する2~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~』(2巻)は、魔導皇国の攻撃を受けたクレイス王国を舞台に、王女リーン、【神盾】イネス、そして自分を弱いと信じたままのノールが立ち向かう物語です。

著者は鍋敷、イラストはカワグチ。アース・スター ノベルから2021年3月に刊行されたシリーズ第2巻です。

今巻の読みどころは、最初から最後まで息をつかせない展開です。それでいてノールの「逆勘違い」は健在で、事態が大きくなるほど、本人と周りの見え方のずれも大きくなっていきます。

総合評価 ★4.0|絶体絶命の状況から一気に駆け抜ける、息つく暇のない第2巻。視点が切り替わるたびに出来事の見え方が変わる面白さはそのままに、物語のスケールがぐっと大きくなりました。

目次

『俺は全てを【パリイ】する』はどんな作品?

冒険者の養成所で「才能なし」とされながら、唯一身についた防御技【パリイ】を磨き続けてきたノール。1巻では、魔物に襲われた王女リーンを助けたことをきっかけに、自分を最低ランクの冒険者だと思い込んだまま、王国を取り巻く騒動に関わっていきました。

2巻では、クレイス王国を手に入れようとする魔導皇国が恐るべき攻撃を仕掛け、王都は厄災の魔竜に襲われます。追い詰められた王国を救うため、リーン、イネス、そしてノールが立ちはだかる、というのがこの巻の入口です。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、俺は全てを【パリイ】する 2からどうぞ。

向いている人

序盤から全力で駆け抜ける展開が好きな人

公式に「いきなりクライマックス」とうたわれているとおり、最初の章から王都は絶体絶命です。王子が絶望するほどの状況から幕を開け、ひと息つく間もなく次の局面へ進んでいきます。

1巻の「逆勘違い」がスケールアップするのを見たい人

ノールは相変わらず、自分を鍛錬の足りない冒険者だと思っています。一方で周りの受け止め方はどんどん大きくなっていき、王国側だけでなく敵側の視点に切り替わる章もあるので、同じ出来事がまったく違う意味を持って見えてきます。

リーンやイネスの活躍も見たい人

この巻は、ノールだけでなくリーンとイネスにも見せ場がたっぷりあります。リーンのノールへの信頼はもはや神聖視の域で、その思い切りのよさにはノール本人まで驚かされるほど。イネスも【神盾】の名にふさわしい頼もしさを見せてくれます。

合わないかもしれない人

理屈より勢いで押し切る展開が気になる人

「生身でそれは無理では?と突っ込みたくなる場面が、この巻にはいくつもあります。細かい理屈より勢いを楽しむ作品なので、物理的な説得力を重視する人は引っかかるかもしれません。

主人公の考えに納得しながら読みたい人

ノールの視点で読んでいても、なぜそうするのか分からない場面があります。正直、私も読みながら「主人公、何してるん?と思うことがありました。分からなさも含めて楽しめるかどうかで、好みが分かれそうです。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。展開に踏み込んだ内容は、末尾の折りたたみにまとめています。

冒頭から王都は大変なことになっていて、「これはもうどうにもならないのでは」と思うほどの絶望感です。そんな状況で、王都へ急ぐためにリーンがとった手段は容赦がなさすぎて、思わず笑ってしまいました。ノール本人までびっくりしているのが、また可笑しいところです。

序盤は、国を背負う人たちの覚悟が胸に響きます。その一方で、ある章では「どういうこった」と声が出る展開もあり、この作品らしい驚きは健在でした。

魔導皇国の攻勢が本格的に始まると、その軍事力は「反則では?と言いたくなるほど。これは勝てないだろうと思いながら読み進めたのですが、そこから先でノールが何をしているのか、読んでいる私にもよく分かりません。敵の側も分かっていないようで、両方の視点を行き来しながら混乱ぶりを楽しむ、なんとも不思議な読み味でした。

後半には、胸が熱くなる展開も待っています。周りの人たちのノールへの評価がやけに高いのが不思議だったのですが、その理由の一端が見える章もあって、読み終えるころには登場人物たちの印象がずいぶん変わりました。

事後処理の章では、ノールが長い名前を覚えられないらしいことが分かって、少しほっこり。振り返ってみると、これだけの出来事がほぼ一日のうちに起きていて、「今日一日でどれだけ死闘を繰り広げているんだ」と突っ込みました。ある少年の視点で描かれる章は重い話ですが、そのぶん心に残ります。

巻末の特別書き下ろしは、ノールが相棒の『黒い剣』の手入れをする、本編とはがらりと雰囲気の変わる一編です。ちょっと不思議な噂が出てくるのですが、その理由は読み終えても分からないままでした。

まとめ

『俺は全てを【パリイ】する』2巻は、魔導皇国の攻撃と厄災の魔竜によって王国が存亡の危機に立たされるなか、リーン、イネス、ノールがそれぞれの形で立ち向かう巻です。冒頭から一気に駆け抜ける展開にノールの逆勘違いがかけ合わさって、1巻よりぐっとスケールの大きな物語になりました。

勢い任せに見える場面もありますが、そこも含めて楽しい一冊です。次につながりそうな伏線らしき描写もあって、続きが気になります。

🔒 ネタバレあらすじを開く(クリックで表示)

王都の上空に姿を現した厄災の魔竜は、まっすぐ王城へ向かっていきます。王都へ急ぐリーンは、ノールを一刻も早く送り届けるため、ある思い切った手段をとりました。

同じころ王城では、国を背負うある人物が、自分の身と引き換えにしてでも魔竜を止めようと覚悟を決めていました。

魔竜の前に立ったノールは、いつもどおり【パリイ】で受け流し続けるだけ。ところが竜のほうは、まったく別のことを悟っていたようです。

しかし、騒ぎはそれで終わりませんでした。一連の襲撃の裏には、王国を手に入れようとする者の計算があったのです。

やがて、隠れて迫っていた大軍がノールたちの前に姿を現します。仲間を逃がす時間を稼ごうと、ノールは一人で前に出ました。

敵の総大将は、戦場に現れたある男の姿に、言いようのない恐怖を覚えることになります。

限界まで戦い抜いたノールのもとには、かつて訓練を受けた懐かしい顔ぶれが駆けつけます。

逃げた相手を追うため、ノールはとんでもない「足」を思いつきます。高いところが苦手なノールも、言い出した本人として覚悟を決めて同行します。

たどり着いた先で待っていたのは、ノールが思ってもみなかった光景でした。

騒動のあと、ノールが望んだ褒美は自分のためのものではありませんでした。

別の章では、ずっと居場所のなかったある少年が、生まれて初めての気持ちに出会います。

巻末の【才能無しの少年】では、かつてノールを送り出した指導者たちが、それぞれ何を思っていたのかが明かされます。

一方で王は、今回の襲撃の裏に別の国の思惑があるのではと疑っています。王国の周りには、まだ火種がくすぶったままのようです。

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