『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』(5巻)感想・レビュー
深淵攻略と最強クランの総力戦
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★★★★★★★★★★5.0 / 5
※この記事は、1〜4巻の内容(4巻の深層ソロ攻略の結果を含む)と、5巻の公式あらすじの範囲、後半の構成(後日談と日常回)、巻末書き下ろしの題材に触れています。ブラックタイガーとの因縁にひと区切りがつくことには触れますが、決着の中身は書いていません。
深層ソロ攻略を果たしたその足で、お嬢様系ダンジョン配信者・山田カリンが向かったのは、さらに先の“深淵”。その裏では、大手クラン・ブラックタイガーもついにカリンを潰す決断を下します。『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』(5巻)は、赤城大空さんによるガガガ文庫のダンジョン配信コメディ(イラスト:福きつねさん/2025年刊行)の第5巻。魔物と人間の両方から騒動が降りかかるのに、当の本人だけがまるで気づいていない。そのずれが最後まで笑いに変わり続ける、賑やかな一冊でした。
総合評価 ★5.0|深淵の攻略と、ブラックタイガーとの衝突という二本柱が同じ巻で動く、密度の高い一冊。周りが深刻になるほどカリンだけがずれていく笑いと、コメント欄・掲示板の盛り上がりを最後まで楽しめました。
目次
『お嬢様系底辺ダンジョン配信者』はどんな作品?
本作は、ドレス姿でダンジョン攻略に挑むお嬢様系配信者・山田カリン(16歳)を主人公にしたコメディです。1巻では、配信を切り忘れたまま迷惑系配信者をボコボコにしてしまった一部始終がアホ程バズり、視聴者ゼロの底辺だったカリンは一夜にして伝説の配信者になりました。
第5巻では、深層ソロ攻略を果たしたカリンが、ついにその先の深淵へ足を踏み入れます。深層ではボスだった魔物たちが雑魚モンスターのように湧いて出るなか、カリンはそれを蹴散らしながら奥へと進んでいきます。一方、“お祈りモード”だったブラックタイガーを率いる黒井も、ついに山田カリンを全力で潰すと決断。日本最強級クランの精鋭十八人が奥多摩ダンジョンへ潜り込みます。魔物と人間、二つの脅威にさらされていることに、カリン本人はまったく気づいていません。騒動の先には、思いもよらない出会いと新たな“バズ”が待っています。
発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、
【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう 5 けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?からどうぞ。
向いている人
4巻の深層攻略の続きを追いかけたい人
本巻は、深層ソロ攻略を果たしたカリンがその先の深淵へ進むところから始まります。深層の先がどんな場所なのか、規模が一段上がった攻略をそのまま味わえます。
周りが深刻なほど主人公がずれていく笑いが好きな人
魔物だけでなく大手クランの精鋭にまで狙われているのに、カリン本人だけがそれに気づいていません。周りが本気になるほどカリンの受け取り方とのずれが大きくなる、シリーズの持ち味をたっぷり味わえる巻です。
コメント欄と掲示板のノリを味わいたい人
配信中のコメント欄に加えて、本巻には掲示板回が3本収録されています。リアルタイムで騒ぐ視聴者と、あとから語り合う掲示板の両方で、外側の反応をたっぷり楽しめます。
火種だったブラックタイガーの行方を見届けたい人
これまでの巻で火種になってきた大手クラン・ブラックタイガーが、本巻でついに正面から動きます。ここまで読んできた人ほど、この巻でひと区切りがつく手応えを味わえます。
合わないかもしれない人
主人公が苦戦する展開を求める人
公式あらすじでも「無双バズ」とうたわれるとおり、カリンの規格外っぷりを楽しむシリーズです。追い詰められてハラハラする展開を求める人には、物足りないかもしれません。
荒っぽい場面をギャグとして読むのが苦手な人
本巻は大手クランとの衝突を含むため、これまでの巻より荒っぽい場面が多めです。暴力的な場面もギャグのテンポで描かれるので、そこを笑えるかどうかで好みが分かれそうです。
配信文化やネットのノリが苦手な人
コメント欄のテンポや配信ならではの空気が物語の土台になっています。そこにピンとこないと、笑いどころが半分ほど伝わらないかもしれません。
感想・見どころ
※ここから先は、5巻の内容に軽く触れます(決着の中身は伏せています)。
この巻の楽しさは、「規模が一段上がった深淵の攻略」「周りが深刻なほどカリンだけがずれていく笑い」「コメント欄と掲示板に広がる外側の反応」の3つです。前巻の深層攻略からそのまま続く巻ですが、ページをめくる手が止まらず一気に読み終えました。
まずは深淵の攻略です。深層のボス級が雑魚のように湧く、普通なら絶望するしかない光景なのに、カリンはそれを蹴散らしながら平然と奥へ進んでいく。スケールの大きな舞台で、爽快感たっぷりに読めました。
この巻いちばんの笑いどころは、その「ずれ」です。大手クランの精鋭に命を狙われるという深刻な状況なのに、カリン本人はそのことにまるで気づいていない。周りが本気になればなるほど、カリンの受け取り方だけが別の方向へずれていく。シリーズを通しての笑いの型が存分に味わえて、何度も声を出して笑いました。
追い詰められる側の崩れっぷりも見逃せません。公式あらすじに「お祈りモード」とあるとおり、黒井は決断の前から追い詰められた状態です。大手クランの顔役が、場面を追うごとに威厳をなくしていく姿には、敵役なのにどこか憎めない可笑しさがありました。公式のキャッチコピー「ジェノサイドお嬢様、爆誕!?」という物騒な呼び名がどうして生まれるのかも、ぜひ本編で確かめてみてください。
外側の反応も大賑わいです。4巻を読んだとき、前人未到の場所が舞台になればコメント欄も悪ノリしづらく、心配寄りの声が増えるのではと感じていました。5巻はその心配をきれいに覆してくれます。第1話では、深淵へ進もうとするカリンを親友の佐々木真冬が電話で止めようとし、その真冬のもとにも悲鳴まじりの電話がかかってくる。この慌てぶりを皮切りに、配信を見守る人たちの悲鳴とツッコミが最後まで途切れません。
本巻は掲示板回が3本と多めなのも嬉しいところです。リアルタイムのコメント欄とは違い、事件をあとから語り合う掲示板では、世間の受け止め方が思わぬ方向へ転がっていくのが可笑しくて、書き込みの言葉選びは毎回うまいなと感心させられます。
後半は騒動の後日談と日常回に移り、エピローグでは次の騒動につながりそうな気配がいくつも置かれます。公式あらすじの「思いもよらぬ出会い」が何を指すのかは読んでのお楽しみです。巻末には、子どもたちとの交流を描く短編、掲示板回、ある刑事の独白という3編の書き下ろしも収録されています。
まとめ
『お嬢様系底辺ダンジョン配信者』5巻は、深淵の攻略とブラックタイガーとの衝突という二本柱で、これまで積み重なってきた火種が一気に動く巻でした。
4巻の深層攻略にワクワクした人はもちろん、シリーズの流れが大きく動く瞬間を見届けたい人におすすめです。火種にひと区切りがつく一方で、その先の新しい騒動の気配も残るので、次巻が待ち遠しくなる一冊でした。
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