『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』(3巻)感想・レビュー
警視庁コラボと動き出す大抗争

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★★★★★★★★★★4.5 / 5
『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』(3巻)赤城大空(著)/福きつね(イラスト)/小学館・ガガガ文庫 の書影

ダンジョン崩壊を食いとめた一件で、底辺配信者だった山田カリンの名前は、もう知る人ぞ知るでは済まなくなりました。赤城大空さんによるガガガ文庫のダンジョン配信コメディ(イラスト:福きつねさん/2024年刊行)の第3巻です。今回は警視庁との初コラボという大舞台に加え、新しい顔ぶれがカリンのまわりを一気に賑やかにしていきます。笑いの手数はそのままに、シリーズで初めてはっきりと抗争の気配が漂う、緩急のついた一冊でした。

総合評価 ★4.5|警視庁コラボと新キャラの登場で世界が一気に広がる第3巻。コメント欄と掲示板のノリで笑わせつつ、シリーズで初めて本格的なシリアスの手触りが加わり、次巻への引きが飛び抜けて強い一冊です。

目次

『お嬢様系底辺ダンジョン配信者』はどんな作品?

本作は、ドレス姿でダンジョン攻略に挑むお嬢様系配信者・山田カリンを主人公にしたコメディです。1巻では、配信を切り忘れたまま迷惑系配信者をボコってしまった一部始終がアホ程バズり、底辺だったカリンは一夜にして伝説の配信者になりました。第3巻では、渋谷ダンジョンの崩壊を食いとめたことで人気と知名度をさらに高めた彼女のもとに、警視庁との初コラボという話が舞い込みます。その最中に鉢合わせたのが、実力派のサムライガール配信者・四条光姫。ところが彼女は、カリンを前にすると明らかに挙動不審なのです。一方で国内最強クラスのクラン・ブラックタイガーは、ひそかにカリンを陥れようと動きはじめていました。その卑劣なやり口がカリンの逆鱗に触れたとき、避けられない大抗争の幕が上がります。

発売日や著者などの作品データを先に確認したい方は、【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう 3 けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?からどうぞ。

向いている人

1巻・2巻のテンポの良さを気に入った人

軽快なノリとサクサク読める心地よさは本巻でも健在です。前巻までを楽しく読み終えた人なら、そのまま同じ温度感で続きへ入っていけます。

コメント欄や掲示板のツッコミで笑いたい人

配信画面のコメントや掲示板パートのノリの良さは、本作最大の魅力のひとつです。今回も物語の外側から絶え間なくツッコミが飛び交い、笑いどころが途切れません。

登場人物が増えて世界が広がっていく展開が好きな人

本巻では新しい顔ぶれが加わり、カリンの周囲が一段と賑やかになります。既存キャラとの絡みで新しい笑いが生まれていく感覚を味わいたい人に向いています。

笑いだけでなくシリアスな引きも欲しくなってきた人

コメディの土台はそのままに、今回は物語が大きく動く手触りがはっきりと出てきます。ギャグの中に緊張感が差し込まれる構成を楽しめる人にはたまらない巻です。

規格外の主人公が無双する痛快さを味わいたい人

カリンのやることなすことが常識の外側にはみ出していく痛快さは相変わらずです。視聴者と一緒に絶句しながら読み進める楽しさがあります。

合わないかもしれない人

最初から最後までギャグ一色であってほしい人

本巻はシリアス寄りの比重が前巻までより増しています。徹頭徹尾コメディでいてほしい人には、少し重く感じる場面があるかもしれません。

配信文化やネットのノリが苦手な人

バズやコメント欄のノリが物語の下敷きになっています。そうしたネット文化のテンポにピンとこないと、笑いどころが伝わりにくいかもしれません。

1冊ごとにきれいに区切りがついてほしい人

本巻は次巻へまっすぐつながる終わり方をします。1冊で読後感を完結させたい人は、続きを手元に用意してから読むのがおすすめです。

感想・見どころ

※本記事は作品内容に軽く触れています。未読の方はご注意ください。

3巻を読み終えてまず感じたのは、この作品がいよいよ大きな物語へ踏み出したという実感でした。相変わらずカリンのやることは常識から外れていて、序盤から声を出して笑わされるのですが、その笑いの奥で少しずつ話のスケールが上がっていきます。

その広がりを一番わかりやすく示してくれるのが、新しく加わる登場人物たちです。今回は魅力的な人物が続けて顔を出し、それぞれがカリンとまったく違うベクトルで濃い。おかげで既存のメンバーとの掛け合いにも新しいパターンが増え、賑やかさが一段と増しました。

この賑やかさを支えているのが、やはりコメント欄と掲示板のノリの良さです。とんでもない場面ほど視聴者の反応が冴えていて、絶妙なあだ名やツッコミが飛び交うたびに笑ってしまいます。とくに掲示板パートは、話題が転がっていくテンポそのものが気持ちよく、本編の出来事を別の角度から眺め直す面白さがありました。

そのうえで、本巻の手触りを決めているのは笑いよりもシリアスの比重です。警視庁との初コラボという大舞台では、これまでのおふざけとは違う緊張感が漂い、カリンの立ち位置が公的に扱われはじめます。裏でブラックタイガーが動いていることも早い段階から示されるので、笑っている最中も不穏さが消えません。この二重構造が、読んでいて心地よい緊張になっていました。

そして何より、終わり方が見事です。物語がはっきりと次へ向かって走り出したところで幕が下りるので、読み終えた瞬間から続きが気になって仕方がありませんでした。ここからどうまとめていくのかというワクワクが止まらない、シリーズの転換点と呼びたい一冊です。

まとめ

『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』(3巻)は、警視庁との初コラボと新しい登場人物たちによって、シリーズの世界が一気に広がる巻でした。コメント欄と掲示板の絶妙なツッコミで笑わせながら、これまでで最もシリアスな空気を差し込んでくるバランスが見事です。緩急のついた展開と強烈な引きで、2巻まで楽しめた人なら間違いなく続きが欲しくなる、シリーズの転換点となる一冊でした。

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